小中学生の筋トレで注意するポイントと継続するための方法(前編)

この記事は、スポーツをがんばるお子さんをお持ちの方で、どんな筋トレやストレッチをしたらよいのか?と悩んでいるひとに向けた記事です。

子どもが習っているスポーツのコーチや先生から「上手くなるためにはもっと筋トレが必要」「もっと柔軟性が必要」「体幹が弱いので鍛えたほうがいい」と言われて困っているひとは、ぜひ読んでみてください。

トレーニング内容はYou Tubeで検索すればたくさんの動画が出てきますが、果たしてそのやり方が自分の子どもに合っているのか?毎日継続できるにはどうしたらいいのか?と疑問に思うこともあると思います。

そしてこれはとても、とても、とっっっても、むずかしい課題。何かを継続するのは子どもに限らず大人だって大変なことですから。

なので、なんとかして子どもが自主的に続けられるような方法を見つけたい!子どものがんばりを応援したい!という方に向けて、これまでのわたしの経験も踏まえてご紹介いたしますのでぜひ参考にしてみてください。

目次:(1.~3.までが前編、4.以降が後編)

  1. 強制ではなく自主的なトレーニングを目指そう
  2. 小中学生がやる筋トレ・ストレッチで注意したほうがよいこと
  3. 子どもの身体に合っているトレーニングかを見極める方法
  4. 目指すは「楽しく継続しながら効果を実感できる」
  5. モチベーションの維持はむずかしい、最初の一歩だけでも親が一緒に踏み出せると変わる

 

 

1.強制ではなく自主的なトレーニングを目指そう

スポーツの基礎トレーニングにあたるストレッチや筋トレは、前提として、強制的にやらせるよりも自主的に取り組めるほうが良いです。

と、文章で書くのはかんたんですが、実際にやるのは本当に大変です。

あたまでは理解していても、なかなかやり始めない姿を見ていると、つい「いいからやりなさい!」「やらないなら(習い事を)やめさせるよ」など、言いたくなる気持ちもわかります。

ですが、強制させたとしてその効果は一過性であり、何より、正しい動作を意識することや何のためにやらなければならないか?ということが希薄になります。そうなると、時間をかけてトレーニングしても果たしてその効果はあるのだろうか?と疑問です。

 

自主的に取り組めるようになるための工夫については後編に記載しています。ぜひ一緒に考えてみませんか?

 

 

2.小中学生がやる筋トレ・ストレッチで注意したほうがいいこと

身体が成長段階にある小学生、中学生でがやる基礎トレーニングは、気をつけておいたほうがいいポイントがいくつかあります。

身体に過剰な負荷がかかる筋トレやストレッチの結果、ケガをしてしまっては意味がありませんので、取り組む前にぜひ見直しをしてみてください。

 

2-1.小学生の場合

男女ともに身長が伸び盛りの小学生のうちは、骨格筋も大人のようにしっかりはしていません。

この段階では、筋トレ、ストレッチともに大きな負荷をかけるよりも小さい負荷で行うトレーニングをメインにしたほうが良いです。

身長が伸びる時期の骨には成長軟骨層という弱い部分があり、そこに繰り返し大きな刺激が加わると障害が発生しやすいといわれています。

たとえば、You Tubeの動画には、有名なアスリートが実践している動画もたくさんありますが、大人が実践してキツイと感じるトレーニングであれば小学生はマネをしないほうがいいです。

実はこれ、わたしも失敗だったなと思うことがありまして・・。

フィギュアスケートを習っている低学年の児童に羽生結弦選手のウォーミングアップ動画を見せつつ、チャレンジしてもらいましたが開始姿勢の状態ですぐに体勢が崩れてしまってました。

本人はやりたい!と意欲満々でしたが、小学生の身体では大人(それもトップアスリート)と同じトレーニングはさすがに時期尚早でした。

 

また、身長が伸びているときに感じるひざの痛み、通称、成長痛と呼ばれる症状が10歳前後から人によって発生します。

ひざは腰や足首同様に、いろいろな方向に身体を動かすときに重要な役割があるので、痛みがあるときにはひざに負担がかからない上半身だけのトレーニングにするなど、工夫が必要です。

 

バレエやダンス、フィギュアスケートなどの審美性を追求する競技の場合、なるべく早く180度開脚ができるようになりたい!という気持ちもあると思います。

ですが、上述した「成長軟骨」は骨がやわらかい状態のため、引っ張られる力が強すぎたり、引っ張る回数が多いと軟骨がはがれてしまうリスクもあります。チューブやセラバンドを使ったストレッチをする場合にはなるべく負荷の低い(軽い力でも伸ばせる)ものを選ぶのが良いと思います。

 

2-2.中学生の場合

中学生になると男子は引き続き身長も骨格筋も成長段階にあり、女子はある程度、身長が伸びきって丸みを帯びた身体つきに変化していく時期です。さらに生理のサイクルや生理が日常生活にどれくらいの影響があるかなど、体調に関して不安定な状態が不定期に現れる時期です。

中学生のトレーニングは、小学生のときより安定して正しい姿勢でトレーニングができるようになりますが、身体が成長している段階であることに変わりはないので、過剰な回数や必要以上に時間をかけすぎるトレーニングは避けたほうが良いと思います。

大人と同量のバーベル・ダンベルの使用、過度な走り込み、正しい姿勢を保てていない状態での力任せのストレッチなどは、見直しの余地があると思います。

 

また、ひとによっては徐々に睡眠時間が短くなっていくと思いますが、翌日に疲れが残ってしまうような状態は避けたほうがよいです。疲れが取れていない状態や寝不足は、集中力・判断力の低下を招きやすいのでケガにつながるリスクが高くなります。

 

 

3.子どもの身体に合っているトレーニングかを見極めるポイント

トレーニングを実践するにあたり、動画で見つけたトレーニングが子どもに合っているのか?という点はとても重要です。

見た目には効きそうなトレーニングや、対象年齢が明記されているトレーニングでも、ひとの身体は個体差はあるのが普通なので同じ動きをしても同じような効果を得られるとは限りません。

身長や体重、四肢の長さや筋肉量などの見た目のほか、それまでの生活環境(例えば習い事に限らず運動が好き、家にいる方が好きなど)によって得意な動き・苦手な動きなど差があります。

ひとくくりに「これなら身体に合っている」という条件を伝えるのはむずかしいですが、「こういう状態は身体に合っていない可能性が高い」という条件はいくつかご紹介できるので参考にしてみてください。

 

①正しい姿勢を保てているか

たとえば検索した動画で紹介されているトレーニングで、最初の姿勢をマネしたときに、1~2秒でフラつくようならそのトレーニングに取り組むのはまだ早いと思います。

慣れればできるかも・・と思って何度かチャレンジするのはもちろんアリですが、その場合も5~6回続けてフラつくようなら止めたほうがいいと判断します。

 

②身体を支える支点の数と支点になる力の大きさを考える

たとえば、腹筋を鍛える代表格のプランクはお腹を下にする姿勢は、両ひじから下の部分と両足の4ヶ所で支えますが、サイドプランクになると片方のひじから手にかけてと下になる足の2ヶ所に減ります(両足を床につけるなら3ヶ所)。

身体を支える支点の数が減ることは当然、筋肉に対して負荷をかけることになりますが、骨格筋が一定以上発達していない場合には、腱や靭帯を痛める可能性もあります。

 

わたしの経験上、身長140cmに満たない子はどんなトレーニングも3ヶ所以上で支えるほうが効果のあるトレーニングになると思います。2ヶ所で支えるトレーニングはあまり効果的ではありません。

また、さきほど例に出したプランクは、小学校低学年の子には、足ではなくひざを床につけるほうが身体を支える力が大きくなるためニープランクがおすすめです。通常のプランク30秒☓3回よりも、ニープランク20秒☓5回くらいのほうが良いと思います。(ニープランクは肩の方に体重はかけない、腰がへこまない、の2つを注意するとお腹に効きます)

 

③大人が実践してキツイ姿勢は子ども同じようにキツイ

子どもは体重が軽い分、大人が苦労するような姿勢や体勢をかんたんにできることもあるので、最初はむずかしくても続けていくうちにできるようになるのでは?と思うかもしれませんし、実際そういうものもあると思います。

しかし、骨格筋がしっかり成長しきっていない段階での大人と同じトレーニングは負荷が大きいので、親である皆さんが取り組んでみて「うわー、10秒キープするもかなりキツイ」と思うようなものは避けたほうが良いと思います。

 

(前編はここまで)

後編は継続するためのポイントを中心に書いてます。

後編はこちらから

【参考文献】

  • 中谷敏昭編「はじめて学ぶ 健康・スポーツ科学シリーズ 5体力学」 化学同人
  • 篠田邦彦総監修「NSCAストレングストレーニング&コンディショニング第4版」ブックハウスHD

 

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