この記事は、スポーツをがんばるお子さんをお持ちの方で、どんな筋トレやストレッチをしたらよいのか?と悩んでいるひとに向けた記事です。
子どもが習っているスポーツのコーチや先生から「上手くなるためにはもっと筋トレが必要」「もっと柔軟性が必要」「体幹が弱いので鍛えたほうがいい」と言われて困っているひとは、ぜひ読んでみてください。
目次:(1.~3.までが前編、4.以降が後編)
- 強制ではなく自主的なトレーニングを目指そう
- 小中学生がやる筋トレ・ストレッチで注意したほうがよいこと
- 子どもの身体に合っているトレーニングかを見極める方法
- 目指すは「楽しく継続しながら効果を実感できる」
- モチベーションの維持はむずかしい、最初の一歩だけでも親が一緒に踏み出せると変わる
前編は小中学生の筋トレやストレッチでの注意点を中心に書いてます。
前編はこちら
4.目指すは「楽しく継続しながら効果を実感できる」
前編の冒頭にも書きましたが、できればトレーニングは自主的にいきいきと取り組んでもらうのがベストです。
が、それは理想に近いといっても過言でないくらいむずかしいこと。
最初は物めずらしさもあってイキイキと取り組んでいても、ある程度時間が経つと「やらされ感」のような態度で渋々始める・・ということもあると思います。
こればっかりは試行錯誤の連続ですが、ぜひ「楽しく継続しながら効果を実感できる」トレーニングを目指せるように、わたしが取り組んでいるポイントをご紹介します。
4-1.「楽しく」のための工夫
ポイントは次の2つ。
- ゲーム感覚でできるトレーニング
- メニューを変える頻度を上げる
「ゲーム感覚」をむずかしく考えすぎると「うっ・・」となりますが、本当にかんたんなものでいいと思います。
たとえば、前編の3.で例に出したトレーニングは支える点とその力の大きさに応じて負荷を段階的に引き上げられます。
フロントプランク → ハンドニー → サイドプランクの順番で負荷が上がるためステージアップ感をつけて、フロントプランク20秒☓3回でファーストステージクリア、ハンドニー15秒☓3回でセカンドステージクリア!というような決め事を最初に作って取り組んでもらうだけでも、楽しみ要素があると思います。
こちらの動画は、あしの指のトレーニングでスクイーズ玩具を使ったものです。足の指はじゃんけんとかタオルギャザーとかありますが、それだけだと飽きてしまうという場合には参考にしてみてください。
なお、他の子と比較したり競争を煽るようなトレーニングは、トレーニングそのものを正しく行うことよりも競争に勝つことが目的になりやすいので避けたほうがいいです。
また、トレーニングメニューはできれば1~2週間で違うものに変えていくのが良いと思います。
目安は週5以上できているなら毎週変える、週2−3くらいのトレーニングであれば2週間おきくらいで変えるのがベストです。
気持ち的に飽きる、という理由もちろんありますが、身体が慣れてしまって負荷をあまり感じない、正しい姿勢を継続できないという理由もあります。
以前、理学療法士の方がある研修で筋肉の変化率データを見せながら話していたのですが、正しい姿勢を取りづらいトレーニングを教えてからどれくらいそれを維持してトレーニングできているか?という実験をしたところ、5-7日が限度だったそうです。10日くらい経つと全員が正しい姿勢でできていない、という結果になったそうです。
いまやトレーニング動画は検索すればたくさん出てきますので、ぜひメニュー頻度を変える工夫も考えてみてください。
4-2.「継続」のための工夫
継続のための工夫は次の2つ。
- 1日にやるメニュー数、回数ともに少なく
- 実践するトレーニングは、その時の課題に合わせる
筋トレやストレッチの基礎トレーニングは、10回を5セットとか、30分ストレッチをするとかハードルが高くなりがちですが、1日に実践するメニュー、回数、時間ともにあまり欲張らないほうが長く続きます。
スタジオのトレーニングに来ている小中学生に、自宅トレーニングとして取り組んでもらう宿題は多くて3種類、それぞれ1回あたりも7~10回あるいは10~15秒を1セットとして、最大3セットまでという内容にしています。時間にしたら休憩しつつやってもトータル10ー15分くらいではないかと思います。
宿題といいつつも「疲れていたりする場合はやらなくていい」と伝えているので、毎日実践する子もいますが、平均すると週3回くらいの子が多いです。それでも2週、3週と継続すると身体に変化は出てきます。そのペースで半年継続している中学生は当初に比べればだいぶ効果が現れてきています。
また、トレーニングメニューを変える頻度にもつながりますが、なるべくそのときの課題に合わせたトレーニングを選ぶのが継続できる2つ目のコツです。
たとえば、取り組んでいる競技で最初は「体幹が弱い」と指摘されたので筋トレを開始したけど、体幹部分に徐々に筋肉がついてきたし、競技での動きを見てみると腰や背中の柔軟性もあったほうが良さそうだ、と課題が変化してきた場合にはそれに合わせて基礎トレーニングも変えていくことが必要です。
4-3.「効果を実感できる」ための工夫
効果を実感できるための工夫は、トレーニングを記録して競技での課題と照らし合わせながら確認することが必要です。
記録はトレーニングをしなかった日もわかるようにしておくのがポイントです。
毎日実践するのが目標か、週何回のトレーニングを目標にしておくのか、それぞれで良いと思いますが、どれくらいのトレーニングをすると身体に変化が現れるのかを検証できるようにしておくと次の改善につなげられます。
また、基礎トレーニングが必要なそもそもの理由は、取り組んでいる競技で何かしらの課題があるためなので、実践している筋トレやストレッチが競技の上達につながっているかを定期的に確認しましょう。
5.モチベーションの維持はむずかしい、最初の一歩だけでも保護者が一緒に踏み出せると変わる
前編の冒頭に記載したように、トレーニングに限ったことではいですが何かを継続するのは本当にむずかしいことだと思います。
最初のモチベーションが高くても、気持ちにムラがあれば急に途切れてしまったり、やる気を復活させるきっかけをつかめないまま時間が過ぎてしまったり・・。
モチベーションが途切れたときは、やる気が出るのを待つよりは少しでもいいからひたすら続けて、続けていくうちにやる気が復活するのを待つしかないのですが、大人でもむずかしいことを子どもが実践するのはなおさら難しい課題です。
(エクササイズ分野とは少し異なりますが、独学の達人である読書猿さんが書いた「独学大全」(ダイヤモンド社)に、継続のむずかしさがとてもわかりやすく書かれているので興味のある方はぜひ読んでみてください)
なお、モチベーションに特化した記事は今後別の記事で投稿を予定していますが、もし可能であれば少しだけ保護者である皆さんが一緒にトレーニングに関われると子どもの反応も変わってくるかなと思います。
【参考文献・参考にした講習会】
- 中谷敏昭編「はじめて学ぶ 健康・スポーツ科学シリーズ 5体力学」化学同人
- 篠田邦彦総監修「NSCAストレングストレーニング&コンディショニング第4版」ブックハウスHD
- アスリートセンタードコーチングでS&Cに付加価値を (NSCA主催:講師 伊藤雅充氏)
- 体幹・股関節周囲筋のモーターコントロール(NSCA主催:講師 大久保 雄氏)
★自宅トレーニングに関するオンラインレッスンを受け付けています。お気軽にご相談ください