この記事は、スポーツや勉強などで先生やコーチから思いもよらず、「やる気がない」「がんばっているように見えない」と注意されてしまったときに、気持ち(心)の整理の仕方として参考にしてみてください。
考え方そのものは、わたしがコンサルティング会社で働いていたときの研修(ロジカルシンキング)で教わった内容なので、いろいろな場面に応用できると思います。
子どもが先生から注意を受けた、叱られたときなど、どんなふうに話を聞いたりアドバイスしたらいいか分からないという場合や、あるいはご自身が職場などで理不尽な注意を受けた、行き違いのやりとりがあったときなどに、ご参考になれば幸いです。
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先生やコーチ、部活の先輩などから一方的に
「やる気を感じられない」
「全然がんばってない」
「手を抜いている」
と、言われたときのショックって結構大きいですよね。
わたしも学生時代、部活や授業中に言われたことが何度かあります。
「やる気がでないなー」と自分がちらっと思った瞬間にそれを即座に見抜かれて注意されるのもショックだし、自分ではがんばって練習しているのに「全然やる気を感じられない」と言われたらもっとショックでした。
さらに、そのときに体調が良くなかったり、どこか痛い場所があったりしてそれを言おうものなら
「言い訳するな!」
と怒られて、火に油をそそぐ結果になってしまったこともあります。
こういうときの対処ってむずかしい。
注意した先生やコーチとその後にどんなふうに接したらいいか、というむずかしさももちろんありますが、それ以上に自分の心に残るモヤモヤとした気持ち、たとえば
- 相手に対する不満や怒り
- 注意されたことは全部受け止めなければならないことなのか?
- 自分はそんなに悪かったのか?ダメだったのか?
などなど、自分の気持ちを整理するむずかしさもけっこう大きいと思っています。
そこで、今回はこういう場面になったときに、自分の気持ちを整理する方法をご紹介します。
ポイントは相手の発言と行動の”分解”です。
注意されたときの状況を分解して考える、分解のポイントは、事実・解釈・判断の3要素
ちょっと冷静になったときに注意を受けたときの状況を振り返ってみてください。
相手とのやりとりを思い返してみて、相手は何をみてどんな発言をしていたかをまずは整理します。
そのときの整理のポイントは「事実・解釈・判断」です。
①事実・解釈・判断の基本的な分け方
相手の言動を分解する前に少しかんたんな例で、「事実・解釈・判断」を解説します。
例として、次の文章を「事実・解釈・判断」に分解してみます。
「空を見ると雲が空を覆うようにたくさん出ていた。雨が降ると思ったので傘を持って出かけた」
- 雲が空を覆うようにたくさん出ていた → 事実(概ね誰がみても明らか)
- 雨が降ると思った → 解釈(ひとによって異なる)
- 傘を持って出かけた → 判断(ひとによって異なる)
解釈と判断はひとによって異なります。
雲はたくさん出ていたけど雨は降らないと思った(例文と異なる解釈)、雨は降ると思ったけど降ったら傘は買えばいいと判断した(例文と同じ解釈だけど異なる判断)、などです。
なお、この考え方については以前noteにも記事を書きましたのでぜひ、こちらも参考にしてみてください。
わたしの会社員時代の失敗や不満も題材になっています(笑)
②先生とのやりとりを当てはめて分解してみる
基本的な分解のやり方は理解できたと思うので、では実際の場面で当てはめてみます。
例えば、次のような場面を想定してみます。
A君はバスケットボール部に入っています。部活ではボールを使う練習の前に校庭を必ず10周します。
今日もいつもどおり走っていたA君ですが、走り始めてから脚に違和感を覚えたので痛くならないように速度落として走っていたところ、顧問の先生が突然「Aはもっとちゃんと走れ!やる気がないぞ!」と怒鳴り、注意されてしまいました。
この状況を分解すると・・
顧問の視点 | A君の視点 | |
事実 | •走る速度がいつもより遅い |
•走る速度がいつもより遅い |
解釈 | (いつもより遅いので)ダラダラ走っていてやる気がない | 脚が痛くならないように注意したほうがいい |
判断 | ちゃんとやれと注意する | 速度を落とす |
となります。
顧問の先生の視点からは、A君が脚に違和感を覚えていることは知らない、というのがわかると思います。
そして、その知らない事実があることによって、それぞれの解釈や判断の違いにつながっています。
こういうふうに整理できると、相手の行動の原理がわかって、注意されたショックや理不尽なやりとりに憤慨した気持ちを少しはクールダウンできると思います。
また、聞くべき注意なのか、スルーしていいのかの判断もつきやすくなるし、むだに落ち込むこともないのではと感じています。
こんなふうに書くまでもなくすぐに整理できそうじゃんと思うかもしれませんが、実際にコミュニケーションの行き違いが起こったときは、感情が高ぶっていたりして頭の整理が追いつかないこともあります。
また、子どもの場合は瞬時にここまでは整理できないと思うので、よく話を聞いて整理してあげることが必要です。
相手の解釈や行動を変えることはできない、という前提でコミュニケーションする
では、事実に相当する部分にお互いの齟齬があったときに、それを相手に伝えるべきなのでしょうか?
先ほどのA君の例であれば、「脚に違和感を覚えた」という部分。
これは月並みなアドバイスになりますが、ケースバイケースかな・・と思っています。
きちんと説明を受け入れてくれる先生もいるし、説明しようものなら「言い訳するな」と、かえって悪化する場合もあるし。むずかしいです。
たとえば、一方的な注意や理不尽なやり取りではなく、何かを改善するための話し合いの場だったり交渉する場面であれば、相手が気づいていない事実を伝えることや、お互いが認識している事実に齟齬がないかを確認することは必要です。
でも、例にあげたようなケースでは、よほど必要性を感じない限りは説明をしないほうが無難かなと思っています。
伝えるにしても言葉を選ぶし、その結果、思ってた通りに伝わるとも限らないしね。
相手の気持ちや考えは基本的に変えられない。
けど、自分の気持ちを切り替えたり整理したりするのは自分でできる。
もし一方的な注意を受けてモヤモヤした時は、相手の言動を「事実・解釈・判断」で分解してみてください。
むだにショックを受けたり落ち込むことは減ってくると思います。