習い事をしていると、うまくできる子・できない子が必ず出てきます。
同じ先生に習っていても先生がやったのと同じようにすぐにできる子・何回練習してもうまくできない子が出てくるのはなぜなのでしょうか?
その理由を「子どもが不器用だから??」で、あきらめないでほしい。
ちなみに、わたしは器用な子どもではありませんでした。
子どものときに習字やそろばん、ピアノ、絵画などいくつか習い事をしていましたがうまくできるものとできないものがあり、できないものは親から「他の子はちゃんとできているのになぜできないの?」とか「器用ではないから仕方ないね」と言われてくやしい思いをしたことがあります。
「あたまでは分かっていても指が思うように動かない」「先生がやりながら見せてくれているけど、なにがどう違うのかがよくわからない」という気持ちがありました。
そのときは「なぜ自分はわからないのか・・」と落ち込む気持ちしかありませんでしたが、いま多くの人に指導する立場になって「教わり方」はこんなにも人によって違うのか!と気づいたことがあります。
習い事がうまく進まない・・どうしたら上達できるようになるだろうか?と悩んでいる親御さんの参考になれば幸いです。
知ってほしい前提① 聞き方・見え方は人によって違う
どんな習い事でも、多くの先生は子どもに説明するときには「やって見せながら」説明していると思います。
このときに先生がやりながら説明していることのすべての情報が、子どもに全部伝わるわけではなく、その子の特性によって左右されます。
先生がやって見せている内容、つまり「目から入る情報」が優先的に記憶にとどまる子もいれば
先生が話している内容、つまり「耳から入る情報」のほうが優先的に記憶に残る子もいます。見たこと・聴いたことの両方が記憶に残る子ももちろんいます。
説明を聴いている最中に「それはなぜなんだろう?」と疑問に思う子は、その疑問が解消されないとそこから先はどんなに説明を受けても頭に残らないという場合もあります。
これは子どもに限った話ではありません。大人も同じです。
スタジオを始めてからこれまで子どもから大人まで、多くの方に当スタジオのレッスンを体験いただいていますが、ひとによって「聞き方・見え方」がこんなに違うものかとつくづく感じています。
- 耳から入る情報を頼りに体を動かせる人
- 説明された内容を文章として記憶してそれを思い出しながら体を動かせる人
- 視覚情報・聴覚情報の両方をキャッチしていて頭では理解しているけど、体に伝えるのは苦手な人・体に連動させて動かすことができる人
本当にそれぞれです。
まとめると
- インストラクションの内容を、頭の中で文章に組み立てて理解する人、言葉で記憶をたどるイメージ(聴覚情報がメイン)
- インストラクションの動作を、じっくり観察して覚える人、映像で記憶をたどるイメージ(視覚情報がメイン)
- インストラクションを聞きながら自分が動く姿をイメージする人(視覚・聴覚情報を組み合わせている)
- インストラクションを目で見て耳で聞きながら、全体の流れをつかもうとする人(情報から全体像を自分なりに描く)
このように、ひとにはインプットされた情報を理解するやり方に違いがあります。
知ってほしい前提② 体には個体差がある
説明するまでもないかもしれませんが、ひとは大なり小なり個体差があります。
個体差というと体が柔らかい・硬い、筋力の有無という点に目が行きがちですが、ふだんの日常生活の環境によって立ち方や歩き方、それによる重心の取り方にも違いが生まれます。
また、見たことや聞いたことをすんなり体に伝えられるかどうかも個体差があります(これは俗に言う、器用・不器用という話です)。
そのため「あたまでは分かる」ことであっても必ずしも先生と同じようにできるとは限りません。
情報のインプットからアウトプットまでさまざまな個体差があるわけですから、ただ一つのやり方で全員が先生と同じようにできる、というのはほぼ無理なことだとわたしは思っています。
習い事が上達するために必要なこと① 情報の伝わり方を知る
では、どうしたら習い事を上達することができるのか。
まずは、情報の伝わり方にどのような特性があるかを知ることが大切です。
最初は難しいかもしれませんが、お子さんに説明したことに対してどういう反応が最初にあるのか、視覚情報が強く残るのか聴覚情報が残りやすいのか、注意深く観察することである程度傾向が分かると思います。
本人に確認するのも一つの方法です。説明したあとに「さて、何をまずやるんだっけ?」「何に気をつけるんだっけ?」という問いかけに、無言なのか、何かを指差したり体を動かしたりするのか。よく観察してみて下さい。
説明したことをどういうふうに受け取っているのかを観察した上で、その子の特性に合わせたやり方を選択できるとベストです。
仕組みや理由を知りたい子どもにはちょっと面倒でも「なぜそうしたほうがいいのか」をきちんと説明することが大事だと思います。
ちなみに子どものときのわたしは聴覚情報が強く残るタイプでした。しかも聞いたことがイメージ図のような映像ではなく、文字として記憶しやすいタイプ。
ピアノのレッスンで先生が先に弾いて見せてくれても当時のわたしは、”見てるのに見れてなかった”。
そのかわり「よく見て!」という先生の叱る声や「ここはこうやるの」という言葉だけが頭に残ってしまう。指示語だけだとさっぱり理解できないんですよね。
習字も、お手本をしっかり見てもそのとおりに筆を動かせなかったので、きっと筆の動かし方や力の加え方を解説してもらうほうが良かったのかもしれません。
習い事が上達するために必要なこと② 分解して考える
子どもの特性がある程度わかったとしても、指導をしてくれる先生が子どもに合わせてくれるとは限りません。
ではどうするか?「なんとか上達できるようになりたい!」という気持ちを叶えるためには、どこが難しいのかをひたすら分解して考えることが必要です。
これはちょっと手間がかかるやり方ですが、先生の説明を細かく分解して、わからない部分はどこなのか、わかっているけど体がついていかないのはなぜなのかを追求していくことが大切です。
よく、「わかる」は「分ける」といいますが、まさにそのとおりで、細かく分けられるレベルまで分けてから一つ一つ確認していくことが必要です。
★運動系の習い事は動画を使おう!
運動系の習い事は、お手本となる動きと自分の動きの両方を撮影して、どこに違いがあるのかを確認してみましょう!
早い動きのものは、コマ送りできるアプリやソフトを活用してみるのもアリです。
体の動き全部を一度に見ようとすると違いが分からないかもしれませんが、体の部位を細かく、たとえば腕の振り幅や歩幅、顔の向き、肩は上がっていないかなど、分割して研究してみると違いが徐々に分かってくると思います。
いかがでしたか?
せっかく習い事をするなら上達できたほうが楽しさが全然違ってくると思うので、「先生の言ったとおりにできないな」と悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください!
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