当スタジオのパーソナルトレーニングでは、3年目、4年目と継続してトレーニングに取り組む選手も出てくるようになりました。
長く見ていると、選手の課題は競技スキルや身体づくりだけではなく、年齢や進学による環境の変化とも深く関わっていることを感じます。
小学生から中学生へ、中学生から高校生へ進むだけでも、学校生活、勉強量、練習時間、身体の成長は変化します。さらに大学生になるとすべての生活リズムを自分で管理する場面が急に増えていきます。
体力的には多くのことができる年齢でもありますが、自由度が高くなるからこそ、自己管理の難しさも出てきます。
この記事では、これから大学生になって競技を続けていくスケーターに向けて、大学進学後に起こりやすい変化と、今から考えておきたい身体づくり・生活管理について整理してみたいと思います。
1.大学生になって大きく変わる環境
高校生までの競技生活は、学校の時間割、家庭での生活リズム、練習や試合の送迎を含めた保護者のサポートなど、ある程度まわりの大人が環境を整えていることが多いと思います。
大学生になると、授業の時間割、課題や試験の準備、練習時間、移動、アルバイト、友人との予定などを、自分で判断する場面が一気に増えていきます。
競技を続ける大学生スケーターにとって、この変化は小さくありません。
練習時間を確保するだけでなく、睡眠、食事、疲労回復、トレーニングの継続まで含めて、自分の生活全体をどう組み立てるかが問われるようになります。
2.自由時間が増える一方で、自己管理の責任も増える
授業の組み方によっては、練習時間も自由な時間も確保しやすくなるかもしれません。
他方、競技と学業の両立は、高校生までとは違う難しさが出てくると考えられます。
大学のスポーツ推薦・総合型選抜のページを見ると、多くの場合、競技実績を評価する一方で、入学後は学業と競技の両立が前提になっていると読み取れます。授業や単位取得についても、基本的には一般学生と同等に求められると考えてよいでしょう。
私自身も、2022年秋から2025年まで放送大学大学院の授業を履修していました。半期に1〜2科目程度でしたが、定期試験やレポート、文献調査があり、仕事と並行して学ぶ時間を確保することの難しさを改めて感じました。
大学生スケーターの場合、そこに氷上練習、トレーニング、移動、試合が重なります。
時間の自由度が増えるからこそ、どの時間に何を優先するのか、自分で判断する力がより必要になってきます。
3.練習・勉強・アルバイト・遊びを全部入れられる年齢だからこそ疲労が見えにくい
大学生になると、生活リズムだけでなく、人との関係や行動範囲も広がっていきます。
競技や学業だけでなく、人間関係や新しい経験が増えることも、大学生活の大きな魅力ですが、
その分、予定も重なりやすくなります。
すべての予定をうまくこなしているつもりでも、心身の疲労が少しずつ積み重なっていることがあります。
とくに精神面の疲れは、自分では気づきにくいかもしれません。
気持ちは前向きでも、睡眠の質が落ちる、身体が重くなる、集中力が続きにくくなる、いつもなら問題なくできる動きが雑になる。そうした変化が、コンディションのサインとして現れることもあります。
4.親の管理から本人管理へ移る難しさ
高校生までは、スケジュール、食事、移動、試合準備など、生活の多くが保護者のサポートによって成り立っていることも多いと思います。
大学生になって一人暮らしを始める場合は、それらを自分で管理する場面が増えます。実家から通う場合でも、「基本的には本人に任せる」と考える保護者も多くなるでしょう。
これは、自立したアスリートになっていくうえで必要な変化でもあります。
ただ、自分で判断して決めること、その結果を受け入れて修正すること、限られた時間の中で集中して取り組むことには、ある程度の慣れが必要です。
大学生になってから急にすべてを整えようとするより、高校生のうちから少しずつ、自分で予定を考える経験を増やしておくことも大切だと思います。
5.体力があるからこそ、無理が通ってしまう危うさ
大学生は、体力的には多くのことに取り組める年齢でもあるので、多少の無理ならこなせてしまうかもしれません。
ですが、競技を続けるうえでは、ケガには常に注意を払う必要があります。
特に新しい生活に少し慣れてきた頃は、疲労の蓄積に気づかない可能性もある。
予定をこなせているから大丈夫、動けているから問題ない、と感じていても、身体の反応が少しずつ変わっていることがあります。
だからこそ、練習量を増やすことだけでなく、回復、補強、コンディショニングを含めて、どのようにトレーニングを組み立てるかを考えていくことが大切です。
6.陸トレは「鍛える」だけでなく、身体と生活の状態を確認する場にもなる
大学生になると、練習やトレーニングを、それまでのように固定の曜日・決まった時間で継続することが難しくなるかもしれません。
さまざまな予定が重なる中で、これまで当たり前にできていたことを、すべて同じように続けるのは簡単ではないと思います。
そのような時期だからこそ、陸トレやフィジカルトレーニングを「ただ鍛える時間」としてだけでなく、自分の身体と生活の状態を確認する時間として考えることも大切です。
たとえば、以前より疲れが抜けにくい、片脚で支えたときに不安定になっている、ジャンプの踏み切りで力が入りにくい、柔軟性や可動域に左右差が出ている。こうした変化は、氷上練習だけでは気づかないかもしれません。
長く陸トレを継続できている選手は、可能であれば大学生になっても続けた方がよいと思います。もし時間的に難しい場合は、「これだけは最低限続ける」という種目や確認項目を一つか二つ決めておくだけでも違います。
また、可能であれば、月1〜2回でも第三者に身体の状態を見てもらう機会があるとよいでしょう。
自分では普通に動けているつもりでも、外から見ると疲労の蓄積や動きの変化が出ていることがあります。定期的に身体の状態を確認することは、ケガの予防や練習内容の調整にもつながります。
大学生スケーターにとって陸トレは、筋力や体力を高めるだけでなく、競技生活を長く続けるための確認作業にもなります。
7.大学生・社会人スケーター向けのサポートについて
当スタジオでは、大学生・社会人スケーターに向けたパーソナルトレーニングにも対応しています。
氷上練習の内容、現在の身体の状態、生活リズム、練習頻度などを確認しながら、補強・柔軟性・ジャンプに必要な身体づくり・コンディショニングを組み立てていきます。
毎週通うことが難しい場合でも、月1〜2回の確認や、必要なトレーニングの整理から始めることもできます。
大学進学後、または社会人になってからも競技を続けたい方で、身体づくりやコンディション管理に不安がある場合は、下記ページをご確認ください。
(参考サイト)
- 運動部学生への学習支援に関する事例集 (一般社団法人 大学スポーツ協会)
- 「大学スポーツの振興に関する検討会議」最終とりまとめ (文部科学省)

















