フィギュアスケートジャンプ:レベル別オフアイストレーニング(陸トレ)のご紹介

2018年から開始したパーソナルトレーニングのコース受講者が2024年12月現在50名を超えました。

このうち、およそ半分がフィギュアスケート競技者です。

競技レベルはさまざまで、バッジテスト初級から7級まで、7級のなかでも全ジュニ(全日本ジュニア選手権)や全日本選手権、JGPシリーズ等、トップレベルの競技会で成績を残しているアスリートもいます。

さまざまなレベルの競技者をサポートしていると、ジャンプに関してある程度のレベル別に有効な対策が見えてきましたので、今回はバッジテスト取得級別にジャンプのためのトレーニングテーマとメニューをかんたんにご紹介します。(基本的にどの段階でも陸上での回転ジャンプは実施しています)

 

なお、フィギュアスケートのジャンプの仕組みについて考察した記事もぜひ合わせて参考にしてみてください。

 

◎初級・1級取得者:感覚をつかむまでの第一歩、跳ぶ→回る→着地を安定させる

この段階では、まずは「ジャンプ中に回って下りる」という感覚を鍛えていきます。

フィギュアスケートを始めた年齢が小学校低学年以下であればリンクで何度も練習しているうちにできるようになってくると思います。

ですが、10歳以上でフィギュアスケートを始めたケースでは、習得速度は少し遅くなる&リンクでの練習だけではコツをつかみづらい可能性があるので、陸トレでなるべくその感覚を早くつかめるようにサポートしています。

スタジオでのトレーニングのおおよその優先順位は、①なわとび、②エアトラックマット、③必要に応じて筋トレ、反応スピードです。

  1. なわとび:足の腱を強化して踏切る力をつける。まずは両足で30秒継続、慣れてきたら片足20~30秒も追加。なるべく膝を曲げすぎず、跳んでいる場所も移動しないように跳ぶ。まっすぐ上がってまっすぐ着地するなわとびを目指す
  2. エアトラックマット:ジャンプの高さを上げるため脚力強化と身体を上げる感覚、高く跳ぶ感覚をつかむ
  3. (必要に応じて)筋トレ、反応スピードなど:極端に筋力が弱かったり、瞬発系の運動が苦手な場合は、短距離ドリルやpodタッチドリルを実施。学校の体育を楽しんでがんばれると、なお良し。

 

◎2級~4級取得者:回転の初速度を上げるトレーニング

各種1回転ジャンプに慣れてきて2回転を習得していくこの段階では、ジャンプのための脚力強化が引き続き中心になります。

極端に筋力が弱い場合は別ですが、この段階で負荷の強い筋トレをたくさんする必要はないと考えています。

黙々と筋トレをするよりも、他のスポーツや学校の体育、小学生であれば友達との外遊びなどで楽しくたくさん身体を動かしてもらうほうが精神衛生上もプラスですね。

 

トレーニングのおおまかな優先順位は、①なわとび、②プライオボックス、③瞬発系が苦手な場合は反応スピードです。また、必要に応じてエアリアルシルクを使用したハーネストレーニングも実施しています。

持久力が弱い子は持久力トレも取り入れていきます。ただ走るだけだとイヤになってしまう可能性があるので、③反応スピードのトレーニングで心肺機能を補うような形で実施しています。(下の動画の2:10あたりのトレーニングです)

  1. なわとび:初級・1級取得者で記載した内容と同様、足の腱の強化。2重跳びができる場合には2重跳び連続20~30回目指す。ひざは曲げすぎず、腕を体側に寄せて脇を開かないように跳ぶ。
  2. プライオボックス:足の腱、筋力、体幹を鍛えつつ、ジャンプの高さと幅を上げていく。基本の跳躍ドリルを実施。
  3. (必要に応じて)反応スピード:瞬発系の運動が苦手な場合に取り入れる。短距離ドリル、podタッチ、ボール投げなど。

1.なわとびの跳び方

2.プライオボックストレーニング

動画はこちらをご覧ください

 

3.反応スピード系(podタッチ)は下記動画の2:10~を参考

↓必要に応じてシルクハーネスを使用

 

◎5級取得者:空中姿勢の安定とジャンプ高を上げるトレーニング

5級までの取得は比較的早い子でも、6級のテストでは時間がかかるという話はよく耳にします。とくにダブルアクセルに時間がかかる、最近では回転不足も厳しく取られてなかなか合格できない・・・と聞いています。

当スタジオのトレーニング体験も、5級→6級のタイミングで苦戦して来る割合がとても多いですね。

 

この段階でのテーマは、「ジャンプ中の姿勢(軸)の安定、ジャンプの高さを上げること」です。

2回転まではジャンプ高がそれほど高くなくても下りられるようですが、ダブルアクセル(2回転半)を回転不足なく下りるには、やはり高さが必要ですね。そしてジャンプの高さを上げるためには、ある程度の筋トレも必要になります。

また、空中で身体を素早く締めて回転軸を安定させるためにもコア(体幹)の強さが必要になるので、これまであまり筋トレを取り入れていなかった人も6級を目指す段階では取り入れたほうが良いと考えています。

 

トレーニングのおおまかな優先順位は、①エアリアル器具をつかった体幹トレーニング、②エアトラックマット、③プライオボックスです。

  1. 体幹トレ:エアリアル器具、ポール、バランスボール等を使った筋力トレーニング
  2. エアトラックマット:身体を高く引き上げる感覚をつかむトレーニング
  3. プライオボックス:2~4級取得者で記載内容と同様、ジャンプの幅と高さを上げていくトレーニング、基本の跳躍ドリル

↓こちらの記事・動画で体幹を使う感覚など確認できます

 

◎6級・7級取得者:ケガを防止しながら試合で上位を目指すトレーニング

6級以上は年齢的にも成長とともに身体が変化する子も多いので、ケガを防止しつつトレーニング強度を上げていく、トレーニングバリエーションもさらに広げていく内容になります。

また、瞬発力や敏捷性も女子は14歳、男子は16歳あたりがピークなので、その年齢を超えている場合には、瞬発系のトレーニングも多めに取り入れていきます。

そのため、トレーニングの優先順位は競技者の特性によります。

スタジオでは次のようなトレーニングを実施していますが、何をどのタイミングで行うのかは受講者の特性と試合のタイミングを見ながら実施しています。

トリプルアクセルや4回転は本当に複雑な技術のため、フィジカル面もさまざまなアプローチでの強化が必要と考えています。オフアイスでは多量の繰り返しトレーニングというより、どちらかというと感覚をつかむことを目的にした内容が多いです。

たとえば5級以下のトレーニングでも使っているプライオボックスは、ベストな跳躍角度はどのあたりか?を考えるなど、目的に応じて細かな設定をしています。

  • 体幹トレ:エアリアル器具、ポール、バランスボール等を使った筋力トレーニング
  • エアリアルストレッチ:エアリアル器具、ポール等を使った強度の高いストレッチ
  • 反応スピード:瞬発力、敏捷性強化、短距離ドリルやpodタッチなど
  • プライオボックス:腱と脚力強化、基本的な跳躍ドリル
  • エアトラックマット:ジャンプの高さ、身体を引き上げる感覚
  • ハーネスジャンプ:スタジオ内でシルクハーネスを使う。空中で素早く回る感覚をつかむのか、着地の重心位置を意識するのか、ジャンプ中の身体の締めを意識するのかなど目的に応じて、やり方を工夫しています。
  • バランス系:重心線や重心位置(着氷時等)を意識したトレーニング。スライディングマット、回転盤、スピナー、スポンジタイプの平均台など、さまざまな器具を使用しています。

(トレーニング動画を一般公開できないため、気になる方は体験時にお尋ねください)

 

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【参考文献・サイト】

 

 

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