演技系競技者(フィギュアスケート・バレエ)のスタミナ強化:心肺機能&瞬発力

演技系競技をしている児童・学生のトレーニングでは、体幹や柔軟強化のほかにスタミナ強化も取り入れています。

対面トレーニングではスタジオと隣の公園で、オンライントレーニングではトレッドミルを使用して実施しています。

年齢と持久力レベル(走ることに慣れているか)に応じて、トレーニング内容をカスタマイズしていますので、自主練に持久力トレを取り入れてみたい方はそれぞれのレベルに合わせて参考にしてみてください。

体幹筋を中心とした筋力トレーニングをしている場合は、走りのフォームも良くなるので疲れにくくなります。筋トレと合わせてぜひ持久力も強化するとパフォーマンスアップにつながります。

 

また、④と⑤の学生については競技レベルも高いので、持久力だけでなく瞬発力・敏捷性を強化するトレーニングも取り入れています。

 

なお、暑熱環境下で走ることは熱中症のリスクが高く、危険です。

走ることに慣れていない子はとくに気温の高い5月~10月の間は、注意が必要です。

直射日光が差す屋外(日陰なし)、こまめな水分補給や休憩を促せる管理者がいない状況での運動は危険です、止めておきましょう。

走ることに慣れている子でも気温28度以上もしくは湿度60%を超える環境下では、20分以上の持久力トレーニングは避けてください。

 

 

演技系競技に持久力は必要か?

事例紹介の前に、かんたんに演技系競技と持久力トレーニングについて解説します。

競技によって少し異なりますが、どの競技もだいたい3~5分くらいの演技です。

ただ技を見せるのではなく、作品としてのまとまり、細部までにしっかり気を配った「演技」と言えるパフォーマンスをするには、持久力向上は必須要素です。

心肺機能を強化できれば、演技中、とくに演技後半のスタミナ切れを防げるので、積極的に走るトレーニングを取り入れたほうがパフォーマンスアップにつながります。

できればウォーミングアップで身体を温めるのとは別で取り入れられるとなお良いです。

 

なお、下記の動画ではこの記事で触れていないことも含めて解説していますので、良かったら参考にしてみてください。

 

どのくらいの負荷でどのくらいの距離を走ればよいのか?

走るときの負荷は、走ることに慣れているのか、好きか嫌いかによって変わります。

走るのが好きだったり、学校のマラソン大会でも上位を取るような子は、1.5~2kmを(10歳以下は1km前後)を週3回くらい走れると、かなりスタミナがついてくると思います。

中高生でもっと長く走れるという子は、練習に支障がない程度(疲れが残らない・ケガをしない)に、距離を伸ばしても良いと思います。

 

一方、できれば走りたくない、走るのは苦手・・という子の場合は、まずは本当に短い距離で良いです。家の周りを2周とか、300mくらいの距離を走るとか、とにかく走ることに慣れる。

スピードも早歩きを少し早くしたくらいのスピードがおすすめです。

慣れてきたら徐々にスピードも距離も伸ばしていきましょう。

 

走る以外の方法はないのか?

なわとびや階段をつかったトレーニングも有効です。

ですが、時間あたりのエネルギー消費量は走るのが一番高いなと実感しています。(たとえば同じ5分のトレーニングなら、なわとびよりも走るほうが効果的)

水泳も持久力を鍛えられますが、走ることに比べて深部体温や筋温が上がりにくいといわれているので、持久力トレーニングでエネルギー消費量も上げたい(体重増加防止)場合には、走るほうが効果的と思います。

 

パーソナルトレーニング事例

スタジオ受講者のトレーニングでは、わたしも一緒に走っています。

1km4分以内で走れるような子の走りにはさすがについて行けませんが、それより遅いタイムであれば一緒にトレーニングできます。

走るのが好きでないとどうしてもキツイ・つらいと感じやすいので、一緒に実践することでマイナスの感情をなるべく取り払っています。

 

①小学校低学年女子・フィギュアスケート:走るのは好き

ふだんから走るのがわりと好きなようで、毎年地元のマラソン大会にも参加している受講者です。

そのため、スタジオでは走る前にいくつかランニングドリルを実施したあとに、なるべく脚の回転(ピッチ)を速くすることを意識してもらうようにしています。

そして「スタジオでのトレーニングがないときでも走れるときは走ってね」と伝えて自主練に取り組んでもらっています。

ランニングドリルはこちらの3つを主に実施していますが、どのくらいの本数を実施するのかは受講者に合わせて実施しています。

 

②小学校高学年男子・バレエ:走るのは苦手

バレエ以外のスポーツをやる機会はあまりなく、走るのもどちからかというと慣れていないため、バレエのジャンプ練習をすると心拍数がすぐに上がる傾向にありました。

そのため、ランニングドリルで脚をしっかり使う感覚を多めに実施してから走るようにしています。

最初は公園1周(150m)するだけでも息がゼェハァと上がっていましたが、徐々に慣れて息の上がり方や疲れ方が変わってきています。

また走ることも少し好きになりつつあるようで、自ら「3周続けたい」「もう一回やりたい」と決めて実践できるようになってています。絶賛、成長中です。

 

 

③小学校高学年女子・フィギュアスケート:持久力トレーニング経験なし(オンライン受講)

オンライン受講のため一緒に走ることはできませんが、オンラインセッションのときに自宅のトレッドミルを使用しています。

トレッドミルの良いところは一定のペースを保ったまま走れるので、それを活かして、心肺機能への負荷を徐々に上げていく形でコントロールしています。

 

具体的には、走る前にストレッチとウォーミングアップをしてから心拍数(脈拍)を計測。

足慣らしで30秒程度早歩きしたあとに、ペースを決めて3回走る。3回走る合間にも心拍数を計測して負荷の状況を確認しています。

なるべく休憩を入れずに続けたいので、脈拍は1分計測せずに10秒間で計測しています。

1回あたりのペースと走る時間はそのときの身体の疲労度に応じて決めていますが、だいたい1回目が1分~1分30秒、2回目は1回目よりペースを上げて2分~3分、最後はさらにペースを上げてダッシュに近いスピードで30~40秒にしています。

 

下記は脈拍の変化です。

負荷を上げつつも心肺機能が強くなっているのが分かると思います。

(脈拍1分は推定値で10秒間の数値を6倍した値、スピードはマイル設定のため(米国在住)kmに直すとやや中途半端な数字になっています)

トレッドミルで走っている最中には、経過タイムや走りのフォームについて伝えたりすることで、孤独感をなるべく取り払っています。

また、オンラインセッション以外でも週1回は走るように指導しています。

 

④中学生男子・フィギュアスケート:持久力トレーニング経験なし(オンライン受講)

③の受講者同様にトレッドミルを使用しています。

やり方もほぼ同じですが、フィギュアスケートの競技レベルが高いため(日本の6級と同等かやや上)、瞬発力や敏捷性も意識できるように、自主練でランニングドリルを行うように指導しています。

ちょうど身体のつくりも変わってくる年齢で筋肉や腱もどんどん強くなってきてパワーが増してきているので、心肺機能も3ヶ月前に比べると格段に高くなってきています。

持久力がついたことで演技も良くなり自信をつけられているようで、オンラインセッション以外でも自主的に走れているとのこと、こちらも成長真っ只中です。

スポーツをしている中学生男子は競技内容を問わず、走れるだけ走っておいたほうが確実に体力増強になると思いますので、ぜひたくさん走ることをお勧めします。

 

 

⑤高校生女子・フィギュアスケート:持久力トレーニング経験あり

持久力トレーニングを自主的にできる、かつ、競技レベルも国際競技会経験が豊富なエリートレベルのため、どちらかというと持久力よりも瞬発力や敏捷性を意識したトレーニングを多く実施しています。

女子の場合は男子と比べて瞬発力や敏捷性のピークが14歳とやや早めです。(*)

瞬発力や敏捷性が落ちてくるとジャンプやスピンの精度にも影響があり、本人からも受講前のヒアリングでは「タイミングがずれるような・・」との自覚があったので、なるべくトレーニングの中でそれらを意識できるような形でとりいれています。

具体的には脚の回転数(ピッチ)を上げることを意識したランニングドリルの実施、布(ティシュー)に上る、ボール投げ(肩周りを動かすスピード・身体のひねりスピード等)などです。走りもストライドよりもピッチ数を意識してもらうようにしています。

脚の動かし方は確実にスピードアップしていて、スケートのパフォーマンス自体も徐々に上がってきているようです。

 

(*)参考サイト

政府統計の総合窓口 体力・運動能力調査 令和5年度

 

★思春期の敏捷性、瞬発力についてはこちらの記事前半でも解説しています。

 

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