スポーツテストの結果から見える、ジュニア選手の伸ばし方

新年度が始まると多くの学校ではスポーツテスト(体力測定)が実施されます。

パーソナルトレーニングを受講している選手たちにも、今年はどうだった?と聞くと「50mが速くなった!」「ボール投げが全然飛ばない」「柔軟のやつ(長座体前屈)だけ低かったけどそれ以外はA評価だった」などそれぞれの得意・不得意を教えてくれます。

そうした会話をきっかけに、「では、(苦手な項目を)少しトレーニングに入れてみようか」と内容を調整することもあります。

スポーツテストは、競技力をそのまま表すものではありません。けれど、走る・跳ぶ・切り返す・支える・動き続けるといった基礎能力を見るうえでは、とても分かりやすい材料になります。

点数(評価)や順位だけで見ない

スポーツテストの結果を見ると、どうしても「何点(どの評価)だったか」「学年の平均より上か下か」「去年より上がったか下がったか」に目が向きやすくなる。

もちろん、数値が上がることは子どもにとって大きな励みになり、苦手な項目が分かることにも意味があります。

ただ、競技に取り組んでいる子どもの場合は、点数や順位だけでなく、もう少し違う見方をしてみると今後のトレーニングのヒントが見えてきます。

たとえば、50m走が速い子は、単に「足が速い」だけでなく、スタートから身体を前に運ぶ力や、地面を押す力が高い可能性があります。

反復横跳びが得意な子は、左右への切り返しや重心移動がうまいかもしれません。

反対に、立ち幅跳びの記録が伸びにくい場合は、ジャンプ力そのものよりも、股関節や腕振りをうまく使えていない可能性もあります。

つまり、スポーツテストは「できた/できなかった」を見るだけのものではなく、
その子がどんな動きが得意で、どこに伸びしろがあるのかを知るための材料として使うことができます。

パーソナルトレーニングでも、子どもたちから「今年は反復横跳びがよかった」「シャトルランがきつかった」「柔軟性が低かった」といった話を聞くことがあります。その結果をきっかけに、トレーニング内容を少し調整することもあります。

大切なのは、低い数値を見て落ち込むことではなく、
なぜその数値になったのか、競技の動きとどうつながるのかを考えることです。

種目別で分かること

  • 50m走が速い/遅い → 初速、加速、下肢の出力が高い/低い傾向
  • 反復横跳びの回数が多い/少ない → 左右の切り返し、重心移動、反応が比較的良い/悪い
  • 上体起こし回数多い/少ない→一定のテンポで筋力を動かしつづける持久力が高い/低い
  • 立ち幅跳びの記録が高い/低い→ 下肢の瞬発力が強い/弱い
  • シャトルラン回数多い/少ない → 心肺機能・筋持久力ともに高い/低い
  • 柔軟性が高い/低い → ケガのリスクが比較的低い/高い
  • ボール投げの記録が大きい/小さい→上肢の筋力が強い/弱い

スポーツテストの項目と体力の特徴は一般的にはこのように整理できます。

ただし、本来持っている力がすべて反映されているかというと、ボール投げや立ち幅跳びのようにスキル面を意識すると大きく変わる可能性もあるので、上半身の筋力がある程度あってもテスト数値は低い、ということもあると思います。

なお、握力については全身の筋力を見る一つの指標とされていますが、きちんと計測するには手の大きさに握る部分の幅を合わせる必要があります。

学校で計測する際には、限られた時間のなかで生徒全員が握り幅を合わせて計測することはむずかしいというか不可能のようです。

私がヒアリングした限りでは、幅を合わせて計測している子はゼロでした。特に、やや手が小さめの子ほど精緻でない印象を受けます。

実際、スタジオにある握力計で計測すると、どの子も学校での測定値より良い結果になりましたので、スポーツテストの結果はあまり気にしないで良いと思います。

競技によって数値の意味を考える

種目と競技の関連について一例を上げると・・

50m走が速い子
サッカーや陸上ではそのまま武器になりやすい。
フィギュアスケートでは、前方への脚の振出を必要とするアクセルジャンプを得意とする傾向にある。

反復横跳びが得意な子
球技ではディフェンスや方向転換に直結しやすい。
チアダンスやスケートでは、ステップや切り返し、ジャンプ後のリカバリー、氷上での重心移動に関係する可能性がある。

立ち幅跳びの記録が高い子
ジャンプ系競技、陸上、競泳など、身体のバネを上手くいかせる選手は強い。
ただし、ジャンプの方向が垂直系競技の選手は「前に跳ぶ」スキルを獲得できていないと、意外とこの数値は低い。

また、パーソナルトレ受講者に多い演技系競技からの傾向をざっくりまとめるとこのような特徴です。

  • フィギュアスケート選手:柔軟性、筋持久力が高い選手も多いが、走る・切り返す、で個人差が大きい、ボール投げは総じてやや低め傾向
  • ダンス・バレエ・チア系:柔軟性や持久力はあるが、瞬発的な踏切や減速に課題が出ることがある

低い項目は「弱点」ではなく、伸ばす方向のヒント

テスト結果はクラスや学年平均との比較になりがちですが、競技をしている子はぜひ昨年との比較も見てほしいです。

基本的に中学生くらいまではどの項目も数値が上がってくるものですが、瞬発系の50m走、シャトルラン、立ち幅跳びは男女とも中2あたりがピークになりやすいです。

数値が伸び悩んだり、昨年から急激に落ちた項目でも、成長期の児童・生徒はまだまだ伸ばせる余地はあります。そして、多くの場合、競技力アップのヒントにもつながります。

パーソナルトレーニングでは、「テストの数値も上がるように&競技にも活かせるように」可能な限り対策

スポーツテストが始まる時期より前から来ている選手には、昨年の結果を聞いて本人なりに上げていきたいところを確認してトレーニングに組み込んでいます。

とくに、ボール投げ、50m走、立ち幅跳びは対策がすることが多いです。

たとえば、ボール投げに関してはソフトボールかハンドボールかで感覚がやや変わりますが、投動作の基本を意識するようにまずはトレーニングします。

足の踏ん張り方や体重のかけ方、ひじから先で投げるのではなく、肩・腕の感覚をしっかりもつこと、上方向に行かないように斜め30度くらいを狙うなどを、軽めのボールからスタートして徐々に重いボールにして投げる練習。

こうしたトレーニングによって、取り組んでいる競技でも、「上半身の使い方が少し変わった」「下半身の力を上半身に伝える感覚が少しわかった」というプラスの変化が出てくるようになります。

noteではもう少しこのあたりを掘り下げて解説していますので、興味ある方はぜひ下記リンク先をご参考ください!

スポーツテストの結果を競技力アップにつなげる見方

(記事のリンク挿入)

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vol.22|フィジカル解説(5)男子スケーターにもある「成長期の再調整」12〜13歳と16歳前後で見たいポイント

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