スタジオを始めて一年、いろいろな厳しさを感じています。
特に最近思うのは
「フィットネス事業は単体では儲からない」
ということ。
いきなり自己否定なっちゃってますが、黒字にならない、ということではなく
すごいガッツリ儲かるような事業じゃないと思う、ってことです。
時々ツイッターとかでフィットネス事業に関心がある的なこと、つぶやいてるの見てると
「いやー、難しいよ、絶対」
という気持ちと
「すでに事業やっている人たちなら違う形で成功するのかなー」
という気持ちが交差しています。
コツコツ時間をかければ事業としては成り立つけど、ガッツリ儲かるには難しい分野じゃないのか、
そう思う理由を今日は書きます。
本当に成長市場か疑わしい
2020年に東京オリンピックがあることもあり、
スポーツ熱が高まっていくのではないか
と期待している風潮がスポーツ業界にはあります。
そのスポーツ熱に便乗する形で、さらに、世の中の流れも健康志向が高めだしフィットネスもイケる!と。
私もそう思っていました。
業界の数字を見ても伸びているようですし→フィットネスクラブ業界、好調の理由とトレンドを探る
しかし、とあるフィットネス業界の方が話していたことがあります。
「フィットネス人口はこの10年、3.3%から変わっていない」
与太話で聞いたレベルなのでデータの母集団、地域や年齢など細かいことはわかりません。
わかりませんが、このデータは「あぁ、その通りなんだろう」と思えるのです。
フィットネス人口は増えないのにフィットネスジムだけは増え続けている
つまり過密競争状態。
実感としてはまさにその通り。
「スポーツ人口全体が増えれば、フィットネスに関心のなかった世代も興味を持つだろう」
「運動に対するキツイ、苦しいというイメージはアプローチを変えれば無関心だった層の興味を引けるだろう」
そんな風に思っていました。
実際それはゼロではないと思います。
私のスタジオにも
- ジムはハードルが高くて行きづらい
- 激しい運動はムリだからゆったりストレッチしたい
というお客様にも来店いただいています。
しかし爆発的に底上げになることはない、と思っています。
根拠は肌感覚、としか言えないですが…
ちなみに、冒頭に紹介した記字の売上高が伸びているという部分は、
売上の立て方が月謝制および入会金を取っている企業が多いから伸びているのだと思います。
最初の数ヶ月払ったものの、実際通っているのは2、3回。(いわゆる幽霊会員)
そういう人は必ず一定数いるので、新規顧客を取り込む作戦を上手く使えば数字は立ちます。(儲けたいひとはココ、ポイントですよ!)
習慣を変える難しさ
肌感覚でフィットネス人口は増えないと感じる理由は、
「人の習慣はなかなか変わらないんだ」と改めて感じているからです。
習慣をすぐに変えられる人とそうでない人、本当に様々です。
感覚値では変えらない人の方が圧倒的に多い気がする。
あとは、続けられるかもわからないけど、まずは続けることを想定して、
「この金額だと1か月これくらいかかるのはムリだなー」と考えて、体験すらしないという方人もいます。
「やるなら”続ける”と決めてお金を払いたい」←この時点で母集団がかなり減り、
「体験したけどやっぱり続かない」←ここで、さらに減る。
結果的には運動が好きで昔から何かしらスポーツに取り組んできた人しか残らない、と感じています。
初期投資、運転資金がそれなりにかかる
フィットネスジムは初期投資も運転資金もピンキリですが、それなりにかかります。
少額で始められるビジネスではない。
うちはだいぶ質素で最低限な投資しかできてないけど(内装とかかなり簡素すぎるw)、
それでも投資額を回収するのは確実に数年かかります。
日常生活に必須なビジネスではない上に投資回収に時間がむちゃくちゃかかる。
改めてリスク高いわーって思います。
定員枠マックス状態が続くと満足要因を下げ、やがて来店数が再び減少するリスク
(※2017年1月9日追記)
これはフィットネスに限らず、カフェなどの飲食店にも言えると思います。
何かをきっかけに話題になったお店で急にお客さんが増える。しかし満席状態が続くお店だとリラックスできないので、それまで来てくれていたリピーターさんが来なくなる・・という現象。
スポーツジムや習い事も同じく、1回あたりの定員枠に毎回、定員いっぱいまでお客さんが来てると、来るのが段々嫌になる・・。
という現象が起こります。
店舗側としては毎回定員枠100%だったら「ひゃっほー!!このまま行ってくれー」と願うばかりなのですが、お客さん側は一定のスペースを持ちたがるので、あまりギュウギュウだと息苦しく感じるんですよね。
激混みのカフェより、まぁまぁ席は沢山あるのにたまたますごく空いていると、なんだか得した気分に自分もなるのでお客さん側の気持ちも分かるけど、運営者としてはつらい・・。
ならば、ゆったりやってもらえるように価格を引き上げればいいかというと、ゆったり空間に見合う立地や内装というものが必要なので、どの立地でも成り立つ話ではありません。
それが伴っていない状態で価格だけ引き上げたところで、フィットネスは上手くいかないと思っています。
例外があるとしたら、習い事やジムの場合、大会を目指すとか一定数のライバルがいることで自分のパフォーマンスも上げていくというスパイラルにあれば、定員枠一杯になったほうがリピーター率は上がります。
「だったら、そこ、目指せばいいんじゃね?」と思うものの
「楽しく運動を始めたい、続けたいという人を増やしたい」という自分の理念と、そういうスタイルは少し離れてしまう。
そもそもターゲットが変わってくるので、少なくとも今は違うのかな・・と悩む日々です。
儲けを出すには他の収益源を作る
いろいろ書き出してみましたが、タレントが知名度を生かしてジムを始めるとかなら最終的に儲かるビジネスになるかもしれません。
それでも資源配分を間違わなければ、ですが。
内装や宣伝に必要以上に資金を使ったら厳しいはず。
2016年に話題になった、暗闇フィットネスとかトランポリン、サーフボードのフィットネスなんかもどうなんだろう・・。
立地や宣伝などウチとは比較になりませんが、それなりに初期投資が結構かかってそうなので気になるところです。
あとは、リテールを取り扱うとか、別の事業者と提携するとか、そういう方法で収益源を広げていく余地はもちろんあります。
既にお客さんが集まっているところにジムの内容を活かしながら形を変えたサービスを提供する、これができればやり方次第ではかなりの儲けを出すこともできるだろうと思います。
実際、自分のスタジオも個人顧客向けの「運動」だけでは難しいので、アレコレと試行錯誤しながら収益の柱を作っています。
ジム単体だけでは投資回収はかなり年数かかるだろうなぁ。
まずは赤字脱出!
ということでジム経営単体では厳しい。けど、他のサービスを考えながら広げていけばうまくいく余地もあると思います。
それに、業務中に体を動かせる息抜きは最高です!
自分のスタジオで体を動かせる醍醐味をフルに楽しむ。
そういう意味でもフィットネスは自分が一番好きでないと難しい業界と思います。