先日とある企業から
「あなたの会社の経営戦略は正しいですか?即答でYESでないなら騙されたと思ってこのゲームに参加して下さい」
という文面のDMが来ました。
よく見かけるこの手の文章、いかにも、うさんくささが漂うので、私は即廃棄するメールです。
でもこうした文面にする理由があって送るのでしょうから、関心を示す人もいるんでしょうね。
さて、これまで一年を振り返りつつブログを書きました。
その中で経営方針についても考えが整理出来たこともあり、
今回は正しい経営戦略について書きます。
ただし、これから書く内容は私のような起業を始めたばかり、かつ、
大きな資本で動いていない事業をしている方には、参考になる部分もあるかと思います。
初期投資が何千万以上というレベル感の事業規模にはそぐわない考え方です。
初期投資が大きい事業は、必ず早い回収を着実に考えるはずなので、そうなると経営戦略そのものの考え方が異なるからです。
ここでの話は、個人企業レベル。
念のため、始めにおことわりしておきます。
経営戦略は会社の成長を促す方針
正しい経営戦略、とは一体どんな戦略なのか。
- 売上が上がる
- 利益が増える
- 社員が増える
- 事業が拡大する
という、会社の成長という結果を導けるのが、正しい経営戦略と私は思います。
ただし、この結果にたどり着くプロセスはいくつもあるので
売上を上げるためにコレをするのが正しい経営戦略だ、
というのは誤った表現と思っています。
また、自分の考えを素直に表現するなら「正しい」というのは少し違和感を覚える表現ではあります。
上手く代替表現が思い浮かばないのですが、正しい、正しくない、って
なんとなく、こうでなきゃいけない、みたいな強制力が加わる感じで私の好みではないです。
しかし良い表現が思い浮かばないのでとりあえず、正しいを使っていきます。
個人企業の経営戦略はどうするべきか
では、私のような個人企業はどんな戦略をとるのが正しいのか。
事業計画を立てている段階では、どんな風に事業を育てたいかというものを基に
- 自分がやろうとしている事業の需要見込み
- 市場分析
- ターゲット選定など
いわゆるマーケティングがしっかりできていること、
そこから出した施策をきっちりやることが成功するための前提条件と考えていました。
もちろんそれは今も変わらない考えではありますが、
どんな事業に育てたいかといビジョン
マーケティングやそれに基づくPR、販促、営業をすることだけでは足りないことに気づきました。
それは自分が事業をするにあたって
どういう思いで経営するのか、ということとマーケティングをリンクさせること、
これが必要と感じてます。
事業に対する思いとマーケティングをリンクさせる、
そんなの当たり前のことじゃん、と何をいまさらと思うかもしれませんが
私もこのことが出来ていると思っていました。
しかし、運営してみて、それが出来ていない、浅いレベルだったと実感しています。
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事業への想いとマーケティングがリンクしていると勘違い
事業を始めるにあたって、それぞれ経営者は想いがあるはずです。
例えば、
- このサービスを広めたい
- 何でもいいからガッツリ儲けたい
- いろいろな人と関われる事業にしたい
など。
私は一番上の想いが強いのですが、それ以外がダメとかいいという話ではありません。
こうした想いとマーケティングの考え方について気づいたポイントを書きます。
体を動かす楽しさを広げたい、という想いを基にマーケティング
私が事業開始前に考えて実践したことを書きます。
結果的には失敗していることが多いです。
エアリアルで体を動かす楽しさを広げたいなぁー、フィットネスとしての面白さを体験して欲しいなぁ、
そういう想いを持って取り組んだマーケティングを下記に上げます。
- スポーツや習い事に関する市場分析
- ターゲット選定、ペルソナの設定
- サービス価格の検討
- プロモーション方法
- リピーターを増やせる仕組み作り
全部は書ききれませんが、ざっと大枠を上げるとこんな感じです。
この大項目からそれぞれを詳細に考えていきました。
例えば、
- 市場分析であれば年代やトレンドの傾向、ジムに通う理由、背景
- ターゲット選定ならば、各世代別の趣味嗜好や収入レンジを調査しどういう人に響くのかを考えてペルソナを考えたり
など。
このときは自分のやっていることに「本当にこれでいいのだろうか」と思いつつも
実践していけば上手くいくんじゃないかと考えていました。
いま思えば、相当安易…
というのも私のマーケティングは、
事業に対する思いがどれであっても当てはまるんですよね。
金儲けしたい、でも、面白い仕事したい、でも。
具体性のないビジョンが失敗の要因
失敗している大きなポイントは、事業に対する思いの部分に具体性がないこと。
そこの思考が浅いために、マーケティングは小手先のやり方を取り入れているだけで、
そもそもどんな戦略をとるべきかの思考ができていない、ことです。
要するに、
スタートがボヤっとしたままだから戦略もないまま小手先のぼんやりした施策しか考えられない
という状態。
マーケティング要素に必要なのは、お客さんが持つ価値観
事業に対する思い入れを具体的にするとはどういうことか、最近になってようやくわかってきました。
提供するサービスをどんな人に受けて欲しいかを年齢とか属性ではなく、
価値観レベルを具体化していくこと。
価値観というのは
- 例えば運動をすることをどう捉えているか、
- お金に対する価値観はどう考えているか、
- 流行りものに乗っかるタイプか無関心か、など。
まずは自分の中での、サービスを受けて欲しい人の価値観を具体的にしないことには
いくらペルソナを考えたところで想いと施策がチグハグになるだけ。
そのことに半年くらいモヤモヤしながら自分の施策に違和感を覚え
ようやく最近になって考えが整理できるようになりました。
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多くの人に無料で試してもらうことが良いことではなかった
具体的な事例を書きます。
例えば、私は最初スタジオのプログラムに無料体験を取り入れていました。
やってみたこともないことなので、それにいきなりお金を払う抵抗もある人もいるかも、、
そんなことを考えて設定しました。
意識の根底にうっすらと、
無料で体験したら半分くらいの人はリピートしてくれるかも
みたいな期待があったと思います。
結果、無料体験からのリピートはほとんどありませんでした。
ゼロではないけど、限りなく少ない。
無料体験は月に数回の実施だったため、日程が合わない方のために、
通常のレッスンでも初回は有料体験価格を設定していました。
結果としては有料体験からのリピートはちょうど50%くらいでした。
あくまで私の推測ですが、
無料体験は、無料だから来る、
という方が大半なのではないかと思います。
一度、北陸地方から3人連れで来店した方がいたときにはさすがにびっくりしました。(受講前には知らなかった)
「東京に遊びに来たついでに体験した」くらいの感覚なので、お金を払って再度来ることはないでしょう。
もちろんそれが悪いという話ではありません。
提供されたサービスをどう捉えて行動するかはお客さんの自由です。
例えば、デパ地下の試食で
- 買うつもりで試食する人
- 試食して気に入ったら買う人
- 買うつもりは毛頭なく試食をしたい人
と様々なお客さんがいるのと同じです。
ただ、私の提供しているサービスに関しては「無料」と打ち出すことはあまりメリットがないやり方でした。
もちろん無料体験に来てくれた方がSNSを通じて口コミをしてくれる可能性もあります。
しかし食品のような生活必需品であれば、口コミからの話題性、売上へと繋がるのかもしれませんが、
ウチの場合は認知されただけでは来店には繋がらないためあまりメリットはないなぁと感じました。
(このあたりはこちらを参考に→1年目を振り返る(集客))
価格で選ぶ人はリピートしない
無料体験もですが、価格設定そのものも、ある程度安くすれば人は集まると思います。
しかし、人が集まりやすい価格は、得てして流行り廃りに影響を受けやすい人が来る。
無料体験同様、1回こっきりで終わるはず。
集客できれば何でもいいの?
継続して運動をする楽しさを知ってほしいのではなかったっけ?
どういうお客さんに自分のサービスを提供したいのか?
やっと足りないことに気づくことができました。
資本力があればとにかくプロモーションで囲いこむのもあり
私がもし起業をするにあたって「とにかく儲かればなんでもいい」という考えなら
マネタイズしやすい仕組みをまずは徹底的に考えると思います。
例えば、初期投資に多くの資本を集めて設備やプロモーションを充実させる。
併せてインフルエンサーに体験してもらって「流行り」を作り、一般客を無料体験で来店させる。
来店したお客さんには「今入会したら入会金無料、月謝も2ヶ月無料。ただし登録手数料と1ヶ月分の月謝は前払い」
とすれば、ある程度まとまった金額は回収できる。
しかも、体験した人は多くの場合、興奮状態にあるので入会もしやすいし、幽霊会員にもなりやすい。
解約時に違約金等の制約をつけておけば、とりあえず利用するしないに関わらず一定金額の回収見込みは立つ。
幽霊会員はインストラクターの経費がかからない(歩合給等)場合もあるし、利益も残りやすい。
例えお客さんが1回しか来ないのに、継続して月謝あるいは違約金を払うハメになっても、
「お客さんの判断で払ったんだから」「来ないのはお客さん側の事情」と気にしなければそういうやり方もアリだと思います。
でも、私がそういうやり方を選ばないのは、なんだか人間の弱い部分に付け込んでお金を奪っているような感覚になるので
イヤなんですよね。キレイごとかもしれませんが。
もし、大きく資本を投じたらそんなぬるいことは言ってられないはずなので、こういう戦略も取らざるを得ないと思います。
「本当に何か運動を始めたい、楽しく運動したい」という人に利用して欲しいので
そういう人はどういう価値観を持っているのか?ということをしっかり考えるべきでした。
また、あくまで推測ですが、もし私がそういうやり方をしていたら今スタジオに来てくれているお客さんは
きっと来なかったんじゃないかなーとも感じています。
まとめ
戦略を考える前にまずは事業に対する考えや想いを深く考察する。
想いと繋がらないチグハグ施策は絶対に上手く行かない。
ちなみに東北地方から有料体験からに来た方がいて、そんな遠方から体験だけでもびっくりなのに
数ヶ月後に2回目の来店があったときは本当に嬉しかった!
興味を持ってくれた人は場所がどんなに遠くても機会を作って来てくれるんだ、ということに気づくことができました。
どういうビジョンを描いていてどんなお客さんを集めたいのか、それをしっかり考えることが正しい経営戦略ではないかと思います。