2017年6月でスタジオ運営が2年目に突入します。
1年目を振り返って思うことを、つらつら書いていきます。
前回までは、集客や資金などについて理想と現実、というテーマで書きました。
今回からは、この一年で気付いたことを思うままに書いてみます。
前回までのテーマを補足する感じですね。
今回は、給与(役員報酬)の設定について
実績に合わせた頻繁な変更はできない
資金計画はわりと保守的に立てていました。
では、自分の取り分である報酬はどれくらいに設定するべきか、最初は検討がつかず悩みました。
というのは普通に資金計画から考えたら、2〜3年は報酬らしい報酬は厳しいだろうなー、
少なくとも初年度は確実に無しなはず。
しかし一方、役員報酬については運営してみてから実績に合わせて頻繁に変更することは原則できない。
それを認めると会社の利益や納税額を操作できてしまうからです。
(一定の条件を満たせば変更可能、後述しますが私は一度変更しました)
売上や経費を見積ったあとの計画値から落としどころが良さそうな数値を産出した結果、
最初はとりあえず10万円で設定していました。
報酬ゼロにしなかった理由
報酬をゼロにしなかった理由は2つあります。
報酬がゼロでも社会保険料は発生する
社会保険は会社と本人の折半で負担します。
本人の負担分は給与から天引きする形で負担したという手続きになります。
会社負担分はPL(損益計算書)上、「法定福利費」として処理されます。
もし報酬ゼロだと、会社からの報酬はないのに個人の社会保険料負担は発生する。
なので、せめて社会保険料分くらいの報酬は会社から出せるようにしておいたほうが良いと考えました。
融資審査においても報酬ゼロは望ましくない
また融資を受けるにあたって、金融機関によっては事業計画上、役員報酬を計上していないとマイナスに見られる場合もあります。
追加融資を受ける際に一旦役員報酬をゼロにして計画を出したところ、社長個人の保証が他に無いため、報酬を保証にできるようにいくらか積んでおくようにアドバイザーから言われました。
いやぁ、どうやっても報酬が出るような状況にならないと思うけど…と思いましたが、当初の取り決めた金額のままにしました。
社会保険料を下げるべく報酬額も減額
しかし一旦10万で設定したもののやはり計画を大幅に下回るので、
報酬はPL(損益計算書)計上しているもののキャッシュアウトはしていません、というか出来ない。。
(キャッシュアウトしない=会社の未払金として計上)
そして経費を可能な限り見直し、会社負担分の社会保険料をさらに下げられるように、一度報酬金額を下げました。
冒頭、原則変更できないと伝えましたが下記の条件に当てはまるならば可能です。
- 役職変更などによる臨時改定
- 業績悪化による改定
社会保険料は報酬額に応じて変わるので、一番最低ラインに減額しました。
2等級以上変更する場合は社会保険事務所に届け出が必要
報酬額を変更する場合、
社会保険事務所に報酬変更届けと株主総会又は取締役会決議議事録が必要です。
私のような株主も役員も一人ならどちらでも大丈夫と思います。
月額変更届けは変更後の金額が社会保険料の等級表で2等級以上変動があった場合や
固定賃金が変わった場合に提出が必要になります。
変更届は税理士さんに作成してもらい、議事録は自分で作成しました。
議事録はこんな感じの簡素なものをワードでちゃちゃっと作成で大丈夫です。
代表印をお忘れなく。
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役 員 報 酬 決 定 書
平成28年12月度以降の取締役の月額報酬の金額は、下記の通りとする。
(取締役名)○○○○ ▲▲▲,▲▲▲円
平成28年11月1日
株式会社●●●●
代表取締役 ○○○○
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ちなみに、報酬を変更したからといって社会保険料は翌月からすぐには変更はされません。
変更届けを出す基準に
「変動後3カ月の平均報酬額が、変更前の金額から2等級差がある場合」
とされているので、
報酬変更月から3カ月後に社会保険料は変わります。
なのでテクニックとして、翌月の社会保険料を下げたい場合は、議事録も変更届けの内容も過去日付で提出するという方法ができます。
ただし、経理処理も遡って修正する必要があるから面倒、というのと
こういうやり方は本当はダメ・・なはず(汗
まとめ
初年度赤字見込みでも報酬はゼロ設定よりもいくらかは設定するほうがよい。
事業開始前は見込み損益から妥当な金額を算出する。
運営してみて計画から大幅にズレるなら変更も可能。