インストラクターとしての学び

教えることは教わること:障がいというくくり方

投稿日:2019年4月23日 更新日:

スタジオを作ってインストラクターをはじめてから約3年。

この3年のなかで文字通り、老若男女、7歳~70代にわたって600人近くの方と接してきました。

日々、お客さんに接して学んだこと、悩んだことなどを書いています。

教えることは教わること。

今回のテーマは、障がいというくくり方について。

 

昨年の夏、「知的障がいがあります」という方からメールで問い合わせがありました。

軽度だけど障がいがある、柔軟や腹筋の動作が苦手なのでそちらの施設で体験をしてみたいという内容でした。

 

わたしはこれまで障がいを抱えているひとと一度だけ、数ヶ月ほど仕事をしたことはありますが、障がい者への理解が深いか?と聞かれると全く自信がありません。

なので問い合わせが来たときは「自力で来られるなら体験してもらうのは構わないけど、果たしてわたしがきちんと対応できるだろうか・・?」というのが正直な気持ちでした。

 

ちなみにメールには

「大きな声が出るかもしれないし自閉的症状が出ることもある」

「他の施設では断られたりする」

とも書いてありました。

 

めちゃくちゃ正直だな・・と思う一方、なんというか、事前にここまで書けることのすごさを率直に感じていました。

自分の劣っている(という表現がいいのかわかりませんが)部分を見ず知らずの他人に伝えるってとても勇気がいると思う。

 

「わたしにはこういう部分があるのですが受け入れてもらえませんか」

と、自分なら言えるのだろうか?と。

躊躇する気持ちに負けて、断られるのがこわくて、問い合わせなんてできそうにないだろうな・・と。

 

なので「体験したい」という気持ちを実現できるようにしたいなという思いでした。

とはいえ、この方が体験に来たときに対応できない事態がもし発生してしまったら他のお客さんがどう感じるか・・という心配も頭をよぎったので、複雑な気持ちでもありましたが。

でも、体験できるならしてほしいな、と。

 

では、どういうコミュニケーションを取るのが良いのか。

 

メールの文章は一部たどたどしさがあるものの、読めなくはない。でも、こちら側の伝えたいことが果たして文章だけで伝わるだろうか。

 

そんなことを悩んだ末、メールには

「内容はわかりました。具体的にどのプログラムに来てもらうのが良いのかはできれば電話で話がしたい。こちらの都合の良い時間を伝えるので電話ができそうな時間を返信してほしい」

という旨を、なるべくわかりやすく書いて返信しました。

 

その後、返信があり、本人と電話で話をすることができました。

電話で伝えたポイントは2つ。

  • 自力でスタジオに来ることができるのであればOK(スタジオの場所がわかりづらい可能性もあるけど、迷ったとしても迎えに行くことはできない)
  • 体験料金は健常者と同じ価格であること(障がい者割引などは適用できない)

電話での会話も特にすごく気になるようなことはなかったので、大丈夫だろうなと感じました。

 

そして、その後何度か本人が気になることの問い合わせ(トレーニングが厳しいとついていけないかもしれないけど大丈夫か、周りの人に合わせられないかも、とか)が数回あったのでやりとりしましたが、しばらく連絡が途絶えてしまいました。

 

「あぁ、やっぱり何かサポート(金銭的にも物理的にも)が無いとむずかしいのかな・・」

と思っていた頃、年が明けてから

「体験に行きます!」

という連絡があり、ついに体験に来てもらうことになりました。

 

最初にもらったメールを確認して「大きな声が出るようなことがあったらどうしよう・・」とか、不測の事態が発生したら・・と身構えていましたが、実際は杞憂に終わりました。

 

全部が全部、健常者と同じようにはいかないけれど、基本的にはこちらが合わせることができるレベルなのでなんの問題もなし。

 

むしろ、わざわざ障がいがあると言わなくてもいいんじゃないか、そんなふうに感じるくらいでした。

そしてその後、何度かリピートいただいていてますが記憶力はかなり良いことに気づき驚きました。

たいていの人は前回伝えた細かい注意ポイントは忘れてるのに

「あぁ、(たしか)ここはこうですね」

と声に出したり

確認しながら体を自然に動かせたりもしています。

 

 

正直、わたしは障がいを抱えたひととどう接するのがベストなのか今でもよくわかりません。

でも彼女と接して思ったのは、「障がい」というくくりは、健常者からの一方的な線引でしかないんだな、ということを強く感じました。

自分の言葉ではうまく表現できないけどたまたま見かけたDaiさんのツイートで「まさに!」と思ったのでご紹介します。(その下のツイートはわたしが引用したツイートです)

そう、「社会との接点」という観点で考えたときに「障がいがある・ない」という判断でしかないんだ。

その「社会」の形をいかようにも変えられるのなら、気になるようなことは全然ないんだ、と気づきました。

 

ちなみに、彼女がトレーニングしているとき、特に「ちょっとキツめのトレーニングだけどがんばってやろう!」と思ったときに必ず口にする言葉があるんです。

 

「やるしかない!!」

 

自分に喝を入れてトレーニングに取り組む姿勢を見ると、こちらも

「よし、もっと楽しくできるように工夫しよう!」

という気分になります。

 

なので、わたしにとってもお気に入りの言葉です。

 

自分の力をつけたかったら

「やるしかない!!」

そんな気持ちで毎日がんばっています。

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(旧HNはモルト) 会社員を経て2016年より独立。エアリアルフィットネススタジオWeBA(ウィーバ)を運営。 これまで経験したこと、起業にまつわるアレコレ、日々の仕事、趣味など発信していきます。ブログについてはこちら