スタジオを作ってインストラクターをはじめてから約3年。
この3年のなかで文字通り、老若男女、7歳~70代にわたって600人近くの方と接してきました。
日々、お客さんに接して学んだこと、悩んだことなどを書いています。
教えることは教わること。
今回のテーマは、自分より詳しいお客さん。タイトルまんま、教わることがたくさんです。
インストラクターとして始動してから半年くらい経った頃、ある男性から電話で問い合わせがありました。
体の一部を過去に痛めてからなかなかスムーズに動かせなくて困っている。ヨガとかもいろいろ体験したけど・・
という話でした。
男性の話しぶりから、真っ先にわたしが思ったのは
「あ、コレ、絶対めっちゃ詳しいひとだ」
ということ。
知識として体のことに詳しいというのもあるし、自分の体のことをよく理解しているという意味でも詳しい。
このタイプのお客さんへの接し方は注意が必要だぞ!
と、わたしの頭の中で注意警報が発令されました。
電話での問い合わせも「分からないから問い合わせている」というより「プログラムの内容は理解しているけど、念のため」系のほうです。
スタジオ運営をやっているとだんだん分かってきます。問い合わせてくるお客さんにもパターンがあって
- メールより電話のほうが伝えやすい(どういうふうに伝えたらいいのか分からないからまず会話!)
- スタジオの雰囲気を知りたい(応対してくれるひとの声のトーンとかで判断!)
- 一応、理解しているけど念のため確認(良くも悪くも慎重派!)
だいたいいずれかのパターンになるけど、めっちゃ詳しいひとは3つ全部含むミックス系が多い。
なので、問い合わせをいただいた男性が体験に来る日は、わたしもどこかソワソワ落ち着きがなかったです。
だって、わたしより絶対いろいろ知ってそうだからマウンティング系だったらちょっと面倒だし、でもうっかり変な応対はできないしな・・と身構えていました。
で、男性、いざ来店。
話が、止まらない・・・・!!!止まらない・・・・!!!
しかも一つのことに対してかなり詳しいというか奥深いし、なんか、ちょっとおもしろいし。
よくそんな細かいことまで!という話が出るわ出るわっ。
こちら男性は仕事の場所がしばしば変わることもあるようで、その影響であちこちのヨガ教室やら格闘技やら整骨院やらに通った経験があるそう。
ひとの体の動きを観ることにも長けているし、いろんなヨガ教室に行った経験があるからスタジオ運営とか集客のむずかしさとかそういう話まで飛び出してくる(!)
ある程度の専門性を要する仕事において、自分より明らかに詳しいひとがお客さんとして来たときの対応って悩むひともいると思います。
張り合うつもりはなくてもプライドが邪魔してうまく対応できないとか
相手の話し方によっては「なんかウザいな」と思うこともあるだろうし。
どういうふうに接するのが良いのかの正解はない。(だから悩むのだけど)
そういうときにわたしがどうしているかというと「わたしはあなたより詳しい」という空気を出さないようにしています。
つまり自然体。
知っていることは伝えるし、分からないことは分からないという。
そういう対応が相手にどう映るかはわからないけど、わからないことに神経使ったりコントロールしようとするのはムダです。
そして、自分より詳しいお客さんはもっといろいろ知りたいという気持ちも強いので
自分の知識や経験を他人に披露するというよりも情報交換を求めているような感じだと思うんです。
(マウンティングをかけるようなタイプでなければ、だけどね)
ひとが経験したり見聞きしたり学ぶことにはたとえば時間的な限界もあるし、何よりもものごとを考える観点や視点はみな違うわけで。
とくに、体の動かし方や痛みの感覚は本当にひとそれぞれ違う。
自分で習得するには限界があるから、ひとと話すことで補うという感じだと思っています。
というわけで、こちらのお客さんが来たときにはわたしもここぞとばかりに会話を楽しんでいます。
ウチのスタジオではスポーツジムのように自由に器具を使える時間帯があって
自分でいろいろ追求したいタイプのお客さんは自分で使用方法を編み出してストレッチしたり筋トレしたりもします。
ストレッチや筋トレのメニューって毎回同じだと飽きるし、わたしも時間があればいくつものパターンを考えたり開発しているので
お客さんが何か試し始めたらわたしも一緒になってやってみる。
そのときに自分では効き目がよくわからなくてもあとで検証して、良さそうなら他のお客さんにも薦めています。
実際、このお客さんの開発したストレッチは他のお客さんからも
「なんか、わかる!」
「ちょっとおもしろい」
と好評なものもあります。(Sさん、ありがとう!!!)
スポーツに限らずどんなサービス業でも「自分より詳しいひと」がお客さんとして来店することがある。
そういうときには身構えずに自然体で情報交換できると自分にとってプラスにはたらくよ、という学びでした!