正しい重心の位置はどこか?体勢によって変わる重心の位置を理解する

(2021/3/11追記)

ジャンプをするときに「お腹を引き上げて」と指摘されることもあると思います。この「お腹を引き上げる」について解説をしましたのでこちらもご参考ください。

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スポーツをしていると「重心」という単語を聞くことがよくあると思います。

ボールを投げるとき、蹴るとき、ジャンプをするとき、野球のバットを振るとき、ダンスのターンをするとき・・あらゆる競技やスポーツで、「重心を意識して体を動かすと効率的にパフォーマンスを上げやすい」というようなことが言われていると思います。

では、その重心の位置ってどこなのでしょうか?

動いている体の重心は正確には測れない

まず大前提として、重心は、静止している物体については正確にその位置を求めることができますが、動いている物体については正確には測れません。

重心とは、簡単にいえば「物体を1点で支えたときにつり合う点」
(宮西智久編「はじめて学ぶ健康・スポーツ科学シリーズ4 スポーツバイオメカニクス」化学同人より引用)

重心を正しく測る前提には、物体に対して”はたらく力”を考えて、それらの力がつり合う場所が重心となる、という考えがあるからです。

なので、人間の身体重心についても静止している状態の重心はある程度測ることができても(*)、運動をしている状態のときの重心位置を正確に把握することは難しく、ほぼ不可能です。

(2021/9/19追記)

(*)なお、静止姿勢であったとしても重心点も常に一定ではないそうです。

一定の姿勢を維持する時、重心点は完全に静止しているわけではない。静的な立位でも重心はわずかに揺れている。こうした重心の揺れを「重心動揺」という。

(宮本省三ほか「人間の運動学 ヒューマン・キネシオロジー」第一部 第2章 人間の身体p.99より)

成人男性の比重心高は55.5%、成人女性は54.8%の位置

静止している身体重心の測定方法は5つあります。

そのうちの一つ、『反力板法』という測定方法を使ったときの体の重心位置をご紹介すると、日本人の成人男性は身長の55.5%、女性は54.8%の位置だそうです。(宮西智久編「はじめて学ぶ健康・スポーツ科学シリーズ4 スポーツバイオメカニクス」化学同人より引用)

ということで、身長に対して、男性なら55.5%の位置、女性は54.8%の位置を算出してみて下さい。床から、その算出した長さの部分が重心ということになります。

たぶんですが、おそらく多くの方が、お腹の下のほう、丹田(たんでん)あたりになるかと思います。

男性と女性でわずかに違いがあるのは、密度の違いではないかと思います。上半身を比べると男性のほうが女性よりも骨格がしっかりしていて、骨や筋肉の密度が大きいのではないかと推測しています。

ちなみに、この直立姿勢から両腕を上げると身長の約5%、さらに片脚もあげると身長の約12%上がるそうです。

スタジオに来たお客さんに身長を聞いて重心の位置を確認してみると、直立姿勢のときはだいたい、みなさん「あぁ、そのあたりに力が入りやすい」というコメントをいただいています。

両手を上げた姿勢や、両手+片脚を上げた姿勢の場合は、人によって少し違いがありました。これもきっと、脚の筋肉の強さや腕の筋肉量などによって重心の位置はひとによって少しズレるのかもしれませんね。

姿勢良く立つときや、歌を歌うときなど、ぜひ静止状態の重心位置を参考にしてみて下さい!

 

Y字・I字バランス、ビールマンの重心についての解説はこちら

 




こちらもぜひ参考にしてね

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