(2023.4追記)
この記事でまとめているポイントは児童・学生向けのトレーニングでも取り入れています。
3ヶ月くらいで体幹で支える感覚が身につき、腰に頼らず肩や脚力で脚をキープできるようになってきています。
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この記事はY字・I字バランスやビールマンポーズで「軸がグラグラして安定しない」「成功するときもあるけど失敗するときもある」という方のために、注意してみてほしいポイントを整理しました。
なお、2018年投稿記事のY字バランスのコツ、2019年のビールマンポーズができるようになるためのステップでは、それぞれに必要な柔軟性や体幹筋の解説とトレーニングについて書いています。ぜひ参考にしてみてください。
*本記事での「足」は足首から下、「脚」は腰から下についての説明として表記を使い分けています。
グラつきを防ぐポイント①:手で支える足の位置を上げる
最初に足を持つときの位置を、少しでも高く上げられるように意識してみてください。
↑ 右の画像のような位置ではなく、左のようになるべく上半身に近い位置まで足を引き上げる
↓ ビールマンポーズも同じ
◎手で支える足の位置を高く上げたほうが安定しやすい理由
足先を持つ高さが重要である理由は、変化する重心の位置(重心動揺)をなるべく少なくするためです。
低い位置で足を持ったときの重心位置と高い位置で持ったときを比べてみると、高いほうが重心の位置も、やや高くなります。
そして、最終形のおおよその重心位置は青色のあたりです。(児童の場合は頭部の比重を考えると下記の位置よりやや上がると思われます)
動画をご覧いただくとわかりますが、最初に高い位置で足を持っているときのほうが、上半身は安定します。
最終の形に脚を上げてくるまで重心のブレは少ないほうがいいので、手と腕の力だけに頼らないように脚と腸腰筋の筋力を上げるトレーニングをぜひ実践してしてみてください。
動画解説バージョンでは後半にトレーニング動画あります。
そのほか、こちらの記事の後半でも別のトレーニングを解説しています。
◎横幅が広い体勢と狭い体勢を比較しても、重心の位置がわずかに上がる
ビールマンポーズの場合は足を持つ高さだけでなく、持った足と軸足との間をなるべく開けないようにすると、さらに効果的です。
すきまが開いているほうが最初の重心位置はわずかに低いので、脚を上げるまでの間にグラグラしやすいです。
ただし、右の画像のように足の間のすき間を開けずに高い位置で足を持って脚を上げるまでの間は、肩や肩甲骨への負荷が高くなるので、ある程度の柔軟性が必要です。
肩が硬いひとは、勢いよく上げてしまうとケガのリスクもあります。
とくに腱(骨と筋肉の付着部分)靱帯を痛めないように注意してください。
腱や靱帯には代謝の活発な細胞数が少なく、とりわけ腱は血管が少なく酸素や栄養素を運ぶ血流に制限があるので、けがをすると完治までにかなり時間を要する特徴があります。
(わたしも右肩のおそらく靱帯と思われるところを痛めて半年以上経ちますがいまだに痛いです。。)
↓こちらの動画で肩関節の動きが確認できます。
必ずしっかりストレッチをしてから実践してくださいね。
動画解説のほうでは肩のストレッチも紹介しています!
グラつきを防ぐポイント②:足を持たない反対の手は上げておく
2番目のポイントは足を持っていない反対の手の位置です。
反対の手の位置は最終的なポーズの位置に合わせておくほうがいいです。
たとえば、きっちりポーズしたときの手の位置も④のように上げている状態であれば、最初から反対の手の位置も③のように上げておくと、グラグラするのを防げます。
②から④のように、脚を上げ切ってから反対の手の位置も上げようとすると手が上がった分だけ重心位置もズレるので、バランスを崩しやすくなります。
振り付けに合わせて、練習するときから反対の手の位置も意識しておくと「安定する感覚」を磨けるとおもいます。
なお、重心についての基本の考え方はこちらの記事でご確認ください。
両足立ちのときの静止姿勢の場合、成人男性の重心は身長×およそ55.5%の位置、成人女性は身長×およそ54.8%といわれています。(成長期の児童はもう少し高い位置と思われます)
そして両手をあげると約5%上がる(身長×約60%)と考えられています。
グラつきを防ぐポイント③:ビールマンポーズの足先は上に引っ張る、ひざを上げるように意識する
しっかりポーズが取れるようになっても、脚が疲れてくると脚が落ちないように、つい手で引っ張ろうとすると思います。
このとき、前に引っ張ってしまうと上半身が前方に倒れやすくなるのでバランスが崩れます。
ポイントは、ひざの位置を上げるように引き上げる。
足先に意識が集中してしまうと、真上ではなく前側に引っ張りがちです。
まとめ
Y字・I字バランス、ビールマン(スコーピオン)でグラグラせずにポーズを決めるためのコツ
- 最初に持つ足の位置をなるべく高くする
- 反対の手も上げておく
- ビールマンポーズでは脚の間のスペースをなるべく開けない。ただし、肩への負荷が大きくなるので事前に入念なストレッチをしておく
なお、動画解説バージョンでは、肩・肩甲骨のストレッチと腸腰筋・大腿四頭筋のトレーニングも紹介しています。ぜひご参考ください。
【参考文献】
- A.I.Kapandji(2019) カパンジー機能解剖学 Ⅱ下肢 Ⅲ脊柱・体幹・頭部(医歯薬出版株式会社)
- 宮西智久編 はじめて学ぶ健康・スポーツ科学シリーズ4 スポーツバイオメカニクス(化学同人)