0.01秒を削りだせ!フィギュアスケートジャンプはお団子ヘアがおすすめ

フィギュアスケートをしているパーソナルトレ受講者で、たまたまロングヘアの学生がポニーテールで陸ジャンプをしたときに、ふと「あの髪の長さは空気抵抗を多少でも受けているのでは・・」と気になり、回転スピードを比較してみました。

結論から言うと、ジャンプを習得中の段階ではポニーテールよりはお団子スタイルがおすすめです。

トップレベルの選手も演技中はお団子系でまとめている選手のほうが多いので、なんとなく想像できますよね。

ですが、実際パフォーマンスにどれほど影響があるのかは気になったのでポニーテールとお団子スタイルでの陸ジャンプをそれぞれ撮影して、回転スピードやジャンプ高にどのような影響があるかをかんたんにまとめてみました。

(動作分析ソフトを使っていますが、n=2(被験者2名)程度の内容なのであくまで参考程度に~)

 

 

フィギュアスケートジャンプ中の滞空時間

前提として、フィギュアスケートのジャンプ中の滞空時間は、めちゃくちゃ短いですね。

以前こちらの記事にも書きましたが、通常、トップ選手でも0.5~0.7秒くらいが平均のようです。

スタジオのトレーニング受講者の陸ジャンプは平均0.4~0.5秒くらいです。(下記動画で滞空時間を計測しています)

フィギュアスケートのような回転ジャンプは高く跳ぶことと、回転スピードを上げることはトレードオフの関係のため両方同時に伸ばすのはとても難しく、相当の練習量を必要とします。

その短い間に少しでも、0.01秒でも速く回転するために皆さん日々練習をがんばっています。

ということで、回転スピードにマイナスの影響がある要素はなるべく排除できたほうがいいなと思った次第です。

 

回転スピードのカギは回転軸の幅、落下速度のカギは物体の断面積

フィギュアスケートのほか、ダンスなど回転系の動きがある競技をしている人なら分かると思いますが、回転軸の幅が大きいよりは小さいほうが回転スピードは上がります。

回転中にこの幅を変化させることで、回転スピードを速くしたりゆっくりにしたりコントロールすることで演技の幅を広げ、表現力も向上させていくことができます。

 

一方、空中に上がった身体が地上に降りるまでの落下速度については、物体の断面積がカギです。

理科や物理基礎の授業で、同じ重さ(質量)のティッシュ2枚を用意して、一方は広げて、もう一つは丸めて同じ高さから落としたときにどちらが先に落下するかの実験をしたことがあるひとはそれを思い出していただけたらと思います。

空気中を運動する物体には、運動と逆向きに空気抵抗がはたらく。空気抵抗の大きさは、空気に対する物体の速さが速いほど大きく、また空気を受ける面積(断面積)が広いほど大きいことが知られている。
(中略)また、同じ重さ(重力)の物体で比較すると、断面積が大きな物体ほど同じ速さで受ける空気抵抗が大きくなるので、終端速度は小さくなる。

NHK高校講座テレビ学習メモ 物理基礎 第13回運動を妨げる力~摩擦力と空気抵抗~より引用

 

つまり、理論的にはポニーテールの長さ分、空気抵抗を受けて回転スピードは落ちる一方で、髪の長さ分の断面積が加わるため着地はわずかでも遅くなるということになります。

しかし実際にはどんな感じなのか、気にするほどの影響を受けるのかは確認してみないと分からない!ということで撮影して確認してみました。

 

比較方法と結果

ロングヘアの学生1名、児童1名(オンライン)の2名に、ポニーテールとお団子スタイルでそれぞれ陸でのアクセルジャンプを跳んでいただきました。

 

動画はオンラインレッスンの児童です。

跳び上がる瞬間を一致させて比較、再生スピードは32分の1倍、スローというよりコマ送りですね。

 

若干画像が荒いですが、ポニーテールの回転は髪の毛が横方向になり始める180度回転したあたりから、回転スピードがわずかに落ちて、お団子ヘアの回転と身体の向きに差が出ています。

また、着地のタイミングはわずかにお団子ヘアのほうが早く、遠心力の影響を受けてやや乱れた着地になっています。

 

スタジオトレーニングの学生には、2回のレッスンに分けて順番を入れ替えて確認しました(初回はポニーテールで次にお団子、2レッスン目は順番を入れ替えてお団子が先)。

結果は動画の児童と同じで、順番を入れ替えてもお団子ヘアのほうがわずかに回転できた結果となりました。

 

結論

ということで、ポニーテールよりはお団子ヘアのほうがより、回転スピードは維持しやすいので、完全に跳べる(*1)ようになるまではお団子ヘアがおすすめです。

(*1 具体的には再現性100%に近い状態。何度実施しても完璧に降りられるジャンプについてはポニーテールでも良いかも?)

あるいは、本番の演技がポニーテールや少し髪を下した状態で行うのであれば、本番と同じスタイルでふだんから練習して感覚を磨いておくほうが良いのではと思います。

 

一応、補足しておくと児童も学生も、ポニーテールとお団子で同じパワーで跳べていたか(*2)を客観的に測れる数字はないです。そこの違いの可能性もあるかもしれませんが、いつもトレーニングを見ている私としては同じように跳べていたと判断しています。

(*2)踏み込む力や腕の振り上げ、身体の引き上げ方など

 

滞空時間のところでも書いたので繰り返しになりますが、回転スピードとジャンプ高の両方を上げることは難しいスキルです。

トレーニング指導を通した私の感覚では、ジャンプ高は集中的にトレーニングするとわりと早く変わってきますが、回転スピードはスピードそのものを上げることもそうですが、遠心力に耐えて回転軸を維持する感覚や着地を安定させることもとても難しいです。

そのため、きっちり回転ジャンプを決めるためには、回転スピードを上げる感覚をなるべく早い段階で習得できたほうがよりパフォーマンス向上になるのではないかと考えています。

 

 

 

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