柔軟性はどれくらいの期間で変わるのか?
高い柔軟性が必要な競技をしている子やサポートしている保護者の方はとても気になる部分と思います。
とくに股関節の柔軟性については、定期的に「開脚」が話題になるので一般的にも関心が高いことだと感じています。
スタジオのパーソナルトレーニングにも、股関節の柔軟性向上を目的として受講している児童・学生が来ています。
結論から言うと、どれくらいで変わるのかは本当に個人差が大きく、一概に明確な期間を示すことは難しいですが、パーソナルトレーニングの事例からまとめてみました。
対象データは、2023年~現在受講いただいている児童・学生のうち、「股関節の柔軟性向上」を課題に挙げている受講者をピックアップしています。
なお、受講者のほとんどは股関節の柔軟性以外の課題(ex.筋力・持久力アップ、体幹強化等)も含めてトレーニングしているため、柔軟性向上目的のトレーニング割合は受講者によって異なっています。(50分のトレーニングのうち、柔軟目的のトレーニングは3割くらいの子もいれば50分ほとんどストレッチメニューの子などさまざま)
事例紹介
トレーニング受講前の柔軟レベルを4つに分けて紹介します。
横に脚を開いたときの角度で、90°未満、90°~90°強、110~150°、150°以上で分けています。
110〜150°くらいは前後開脚すると床から身体が10㎝程度の隙間がある、150°以上は、3㎝程度の隙間がある状態です。
◎受講前よこ開脚90°未満
氏名・受講時学年 | 競技 | 柔軟性向上の目的 | 目的達成期間 | 結果 |
Yさん(小3男子) | 野球・水泳(体力全般強化がメイン) | 少しでも柔らかく | 8か月 | 100°くらい開く、腰が立てやすくなった |
小学生の男子は女子に比べて身体が硬い子が多いと思いますが、Yさんの場合は平均よりもかなり硬い状態でした。
「脚が開かなさすぎてオムツを変えるのも大変でした」とお母様がおっしゃっていたとおり、股関節は生まれつき硬く、腰回りも硬い(骨盤は後傾)。
Yさんの場合は筋力や持久力アップも含めたトレーニングのため、股関節の柔軟性は時間をかけて徐々に変化してきている感じです。
↓柔軟性のトレーニングは入っていませんがこんな感じで楽しく体力全般アップしています
◎受講前よこ開脚90°~90°強 (★はオンライン受講)
氏名・受講時学年 | 競技 | 柔軟性向上の目的 | 目的達成期間 | 結果 |
Sさん(中1男子) | フィギュアスケート |
少しでも柔らかく、キャメルスピンの脚の高さを上げる |
6か月 | 110°くらい開く、脚も高く上がるようになった |
Tさん(中1男子) | スポーツクライミング | 少しでも柔らかく | 3ヶ月 | 130°くらい開く、腰が立てやすくなった |
Rさん(小3男子) | 水泳 | 少しでも柔らかく | 3ヶ月、継続中 | 110°くらい開く |
★Kさん(中1男子) | フィギュアスケート | 少しでも柔らかく、キャメルスピンからのキャッチフットを素早く行う | 2ヶ月、継続中 | 110°くらい開く、キャッチフットもスムーズになった |
Tさん、Rさんは基本的に毎日自宅トレーニングも実施できているので、わりと早い段階で変化が出てきました。Tさんは特に、トレーニング目的が柔軟性向上だけに特化していたこともあって、短期間で変化できたと思います。
オンラインで受講しているKさんは股関節よりも背中の柔軟性が顕著に変わって、以前は猫背でしたが、それが解消されて腰回りも動かしやすくなり、連動する形で股関節の角度が変わってきました。
Rさん以外の男子はたまたま同じ年齢で骨格筋がしっかりしてくる成長期、背筋や太もも・おしりの筋肉が強く発達している段階でしたので、すぐにガバっと開くような柔軟性を手に入れるのはむずかしいです。
裏を返すと、柔軟性向上を目的に受講する割合が多いのも12〜13歳です。
競技特性上、股関節の柔軟性があったほうが有利な競技をしている場合には、なるべく早いタイミングでストレッチ習慣を作ることをおすすめします。
◎受講前よこ開脚110~150°、前後開脚は床から10㎝くらい隙間あり(★はオンライン受講)
氏名・受講時学年 | 競技 | 柔軟性向上の目的 | 目的達成期間 | 結果 |
Hさん(中1女子) | フィギュアスケート | ビールマン | 7ヶ月 | 達成 |
Rさん(小5女子) | バレエ | 横開脚べったり、パフォーマンスアップ | 1年4ヶ月、継続中 | 前後開脚はほぼ床につく、横開脚は160° |
Aさん(高1女子) | フィギュアスケート | 少しでも柔らかく | 1年3ヶ月、継続中 | 前後開脚はほぼ床につく、横開脚は160° |
Mさん(中1女子) | 一輪車 | ビールマン、I字 | 5ヶ月、継続中 | I字は達成、 ビールマンは足は持てるがまだ上がりきっていない |
★Hさん(小5女子) | フィギュアスケート |
ビールマン、I字、開脚べったり |
4か月、継続中 | ビールマン達成、 前後開脚は床につく、よこ開脚は160°くらい |
男子同様に、女子も12~13歳あたりから骨格筋が発達して身体がやや丸みを帯びてくる変化があるので、それぞれの成長度合いによって時間がかかったり、比較的早く変化してきたりとさまざまです。
Rさんは通っている学校が体育に力を入れているとのことで、運動会の練習が多かったり、球技大会やなわとび大会などのイベントも多く、日常的に太ももの筋肉が硬く大きく発達しやすい環境なので少し時間がかかっています。毎日自宅トレーニングもできているのですが、やはり個々の筋肉の性質、生活環境によってはどうしても時間がかかるケースもあります。
↓オンライン受講のHさん、身体の向きが逆になってますがどちらも右脚前の前後開脚比較
なお、後ろに脚を上げて持つ姿勢のビールマンは、180度開くような柔軟性が必要と思われがちですが、そこまでの柔軟性がなくてもできるポーズです。
股関節よりもおしりや背中・腰の柔軟性と肩回りの筋力を鍛えることでビールマンはできるようになります。詳細は下記の記事を参考にしてみてください。
(よりキレイな姿勢を目指すのであれば股関節の柔軟性を上げていくことは必要です)
◎受講前よこ開脚150°以上、前後開脚は床から3cmくらい隙間あり(★はオンライン受講)
氏名・受講時学年 | 競技 | 柔軟性向上の目的 | 目的達成期間 | 結果 |
Mさん(小4女子) | チアリーディング | ビールマン、I字を瞬時に持つ | 3ヶ月 | 達成 |
Nさん(小5女子) | 一輪車 | ビールマン、アラベスク、I字 | 5ヶ月、継続中 | 達成、さらに柔軟性向上を目指す |
Aさん(小3女子) | ダンス | 横開脚べったり | 1ヶ月 | 達成 |
★Hさん(小2女子) | フィギュアスケート | ビールマン、I字 | 3か月、継続中 | 達成、さらに柔軟性向上を目指す |
ここの段階は、あと一息で180°というところなのですが、わたしの経験上、ここから180°になるまでが意外と時間がかかるというのも実感しています。
そのため、ジーッと伸ばす静的ストレッチだけでなく、動きのある動的ストレッチも適度に取り入れて、自宅トレーニングも飽きないように工夫しています。
そして「あと少し!」とみんなモチベーションは高かかったこともあり、自宅トレーニングも毎日取り組めたようで早く達成することができました。
↓ダンスをしているAさん(小3女子)かなり早くベタっとを達成できました
↓柔軟性アップのトレーニング
硬い子はどこまで柔らかくなれるのか?
もともと身体が硬いと「ストレッチをして本当に柔らかくなるのか?」という疑問がわいてくると思います。
これも個人差によるところが大きいので断言はできませんが、これまで見てきた児童・学生の経験から言えるのは、ストレッチをする頻度と継続できた期間によっては120°くらいまでは横に広げられるのではないかなと感じています。
たとえば、一番最初の事例のYさん(小3男子)くらいの硬さでも毎日数分のストレッチを一年くらい継続できれば、児童・学生だけでなく、成長期を過ぎた大人でもある程度は柔らかくなると思います。
以前、大人向けのレッスンを継続的に受講していた男性(30~40代)は、もともと90°開くか開かないかという感じだったようですが5年間毎日ストレッチを継続して、ほぼ180°開く状態になっていましたので、やはり”継続は力なり”です。
柔らかい子でもストレッチをしないと硬くなる
一方で、小学校低学年くらいまでは柔らかかった児童も、年齢が上がるにつれてストレッチ運動を取り入れなくなると硬くなることはあります。
ポールダンスに来ている児童のなかには、もともと160°くらいは横に開げられる柔軟性があったものの、とくに自宅でストレッチはせず、ふだんから走ることが好き、自転車にもよく乗るという環境で、柔軟性が下がった子もいます。(現在110~120°くらい、骨盤も後傾した)
年齢的には11歳くらいから硬くなり始めました。骨格筋が発達し始める年齢と、日々の生活習慣(ex.座るときに骨盤を後ろに倒して肩や頭で寄りかかるような姿勢)などの積み重ねによって変化してきていると考えられます。
ちなみに、ポールダンスレッスンではレッスン中に15分ストレッチを実施していますが、週1回15分では柔軟性を維持することがむずかしいという表れでもありますね。
柔軟性を維持したい場合には成長期の期間もぜひ継続的なストレッチ習慣をキープすることをおすすめします。
開脚は横と前後、開きやすさが異なる
開脚は横方向と前後方向とで、開きやすさが人によって異なります。
(個人差があるのは前提として)腸腰筋や内転筋が硬いと前後よりも横の方が開きやすい傾向の人が多く、おしりの筋肉や腰が硬い人は横よりも前後の方が開きやすい人が多いと感じています。
ちなみにわたしは前後開脚の方が得意です。横方向の柔軟性に必要なポイントについての詳細は下記の記事を参考にしてみてください。(かなり細かい&長いです)
————————————
★パーソナルトレーニングについてのご質問などは公式LINEアカウントなど各種SNS、またはお問合せフォームよりお願いいたします。(メールアドレスは携帯キャリア以外のアドレスをご登録ください)
体験申し込みはこちら
なお、パーソナルトレーニングはマンツーマントレーニングです。複数人の同時受講はできない旨、ご了承ください。
★遠方などの理由でオンラインレッスンをご希望の方は、まずはお問合せください。
体験版として下記リンク先のA.をご体験いただく予定ですが、継続コースについては、受講者の年齢、競技歴、トレーニング目的などによって異なります。
関西エリアの児童の受講例
受講にあたってはタブレット(スマホ)とパソコンなど、端末を2台ご用意いただき正面と横からカメラの設定をお願いしております。
詳細はお問合せください。