試合中に失敗を引きずらない。気持ちを切り替えるための対策(演技・試技系競技)

パーソナルトレ受講者の半数くらいがフィギュアスケートをしている児童・学生なので、最近ではジュニア世代の試合を観ることも多くなりました。FODで見ているので自分が関わっている子以外の子の演技もたくさん観ます。

演技中に失敗があってもそれを切り替えられて演技に集中できている子もいれば、失敗を引きずったまま演技が終了してしまう子、さまざまです。

わたし自身も、これまで新体操、弓道、ポールダンスなど演技・試技系競技が多かったので、試合中の失敗は何度も経験しましたし、気持ちを切り替えられずに終わってしまった経験もたくさんあります。

学生時代は「どうやって失敗した気持ちを切り替えるか」を明確に分かっていませんでしたが、大人になってからは「気持ちのコントロールの仕方」を考えて実践したり、スポーツメンタルに関連する研究論文を確認したりブラッシュアップしています。

もし試合のプレッシャーに悩んでいる場合にはぜひ参考にしてみて下さい。

スタジオのパーソナルトレーニングでも取り入れているやり方で、たとえば、チアダンス検定に合格&優秀者として選ばれたり、センターを獲得できたりなど、自分の気持ちを上手くコントロールできた児童もいます。

 

気持ちのコントロールのやり方は個々人違うため、合う・合わないがありますが、何かを変えるきっかけになれば幸いです。

 

試合中の失敗を切り替えられない、一つの失敗がその後も影響してしまう要因

試合中の失敗を引きずる要因は、おそらく、その失敗による失点や評価を考えてしまうからではないかと思います。少なくとも私はそうでした。

考えないようにしないと・・と頭で分かっていたとしても、たとえばその試合が予選だと、どうしても「次の大会に進めないのでは」という不安がよぎってしまいます。

そして、不安が一瞬でもよぎると身体に余計な力が入ったり、ふだんは全く問題ない動きでも無意識に力んでしまって次の失敗を招いてしまう・・ということはわりとよくあることではないかなと感じています。

 

では、どうしたらよいのか?

具体的な対策を書く前に、最初に強く伝えておきたいのが、

点数や評価は ”結果でしかない” ということ。

結果は競技の審判や採点に委ねられているものなので、競技者が試合中にそれ自体をコントロールすることはできないということです。

たとえ、途中で失敗があって「もう、ダメかも」と思うのは自分の勝手な判断であって、とてももったいないことです。

そう思ってしまうことで、残りの演技や試技の「ベストを出せる可能性」を捨ててしまっている、と考えを切り替えてもらえたらと思います。

 

つまり、試合で必要なことは、自分がコントロールできることに集中する、これだけです。

おそらく頭では理解しているけれど「具体的にどうしたらよいのか」、あるいは「気持ちをそういうふうに持っていくことができない」と悩んでいる人もいると思います。

ぜひ、次のやり方をぜひ実践してみてください。

 

 

練習時のメンタルを使い分ける

ポイントは練習のときから気持ちや考え方を使い分けることです。

演技系の競技では、個々の技の練習や基礎練習と、本番を想定して楽曲に合わせて演技をする練習の2パターンに大きく分けられると思いますが、それぞれの向き合い方を次のようにしてみてください。

 

1.技の練習・基礎練習

技の練習のときには多くの場合、どこに注意をしたらよいか、身体の使い方だったり手具などの道具を使う場合はそれぞれの手順に意識を置くと思います。

そこにプラスして、技の練習段階ではむしろ「試合だったらどういう評価を受けるか?」まで考えを巡らせてみてください。

先ほど「評価は競技者がコントロールできるものではない」と書いたので矛盾しているようにも感じるかもしれませんが、矛盾ではありません。

試合できっちり評価をしてもらうために、ふだんの練習から、今の状態は採点者や審判の目にどう映るか?足りないところはどこか?手先や足先、目線は?など基礎練習も含めて

かなり細かいところまで気を配って技の習熟度や完成度を自分で客観的に判断できるように練習することをお勧めします。

「できたからOK」「今日はなんか調子がよかった」で終わらせないように、何度も練習することが大切です。

 

 

2.本番を想定した通し練習

楽曲とともに演技の通し練習をするときには、

  • 最初から最後まで良い演技をすることだけに集中する
  • 失敗があっても途中で止めない、やり通す。残りの演技をしっかりやり切ることだけ考える

この2つを意識して取り組んでみてください。

 

通し練習の回数や頻度、どのタイミングで行うかは人それぞれと思いますが、試合が近づいてきたら上記のやり方に変えてみてください。

ただやみくもに何度も通したり、疲れたら途中で止めてやり直すような練習はおすすめできません。

1回1回本番を想定して、失敗があってもとにかく最後までやり切る。

成功させたいとか失敗したくないという気持ちを全て打ち消して、良い演技をすることだけに集中する。

良い演技をするために必要なことは、ふだんの技の練習や基礎練習を通して実践していることです。

それをすべて出し切る練習が通し練習です。

そのため、技の練習や基礎練習のときの取り組み方がしっかりできていることが前提なので、1.に書いたやり方をまずは実践してみてください。1.がしっかりできていなけば、2.をやっても意味がありません。

 

身体に余計な力を入れてしまうクセをなくす練習方法

少しだけテクニック的なことに触れておきます。

焦りや不安を感じると身体に力が入りがちです。

身体が力むと演技系のパフォーマンスでは息も上がりやすくなってくると思います。

息が上がって苦しくなると息を吸いたくなる、さらに身体に力が入るという負のスパイラルに陥りやすいです。

 

なるべく力まないようにふだんから身体をコントロールできると良いのですが、それはむずかしいと思うので、息が上がりそうな場面では「息を吸うほうではなく、吐くほうに意識を置く」と良いと思います。

ふだんの練習で走りこみをしたり、あるいは通し練習の中でも苦しい場面がいくつかあると思うので、そのときは「息を吐く」を意識する。

人間の身体は、息を吐けば勝手に吸える仕組みですし、身体の力みも和らぎます。

身体の力みが取れれば余計な力が入ることなく良いパフォーマンスにつながります。

 

 

「最後まであきらめない」を実践するするためには

試合前や試合中に、コーチや保護者から「最後まであきらめるな」という声をかけられることが多いですね。

この言葉は、試合のときだけ意識すればよいものではなく、「最後まであきらめない練習をこれまでしてきたのか」が問われるものと考えています。

 

技の練習も、通し練習もなんとなくの惰性でやっていたら試合中に「最後まであきらめない」ためにどうしたらよいのかはわかりませんし、がんばれる体力もおそらくないと思います。

真面目に練習している、苦しいけど毎日がんばっている、というのも、それだけでは足りないというか、そこに満足していたら試合では勝ち上がれないですね。

 

試合で評価されるのは毎日真面目にがんばっていたかどうかではなく、良い演技をするための努力ができていて、かつ、それが本番で披露できた時に評価されるわけですから、

苦しい局面でどう乗り越えているのか?

ミスがあっても、次の技に向けてどういうふうに切り替えるか?

メンタルも含めた繰り返し練習があって、初めて「最後まであきらめない」が実践できるものと思います。

 

毎回、全てが満足のいく内容で終われるのが一番良いですが、演技系競技はそうはいかないことのほうが多いのが現実です。

しかし、少し失敗があったとしてもその後にそれを引きずらずにしっかり切り替えられてベストが出せれば、必ず自信になります。

自信がつけば「良い試合だった」「楽しめた」という気持ちになれると思います。

 

試合で失敗を引きずりやすい、プレッシャーに押し潰れそう、という人はぜひ、毎日の練習の向き合い方を見直してみてください。きっと何らかの突破口が見つかると思います。

 

★試合に向けてメリハリある練習で結果を出したい子向けのサポートレッスンはこちら

◎目標管理サポートセッション(オンライン)*トレーニングは含みません

 

参考情報①:試合で一番良い演技をするために必要なこと、練習方法

 

参考情報②:自分にかける言葉はポジティブなほうがよいのか?

試合中に自分で自分を励ますことも多いと思いますが、その言葉はポジティブな方が良いのでしょうか?それともネガティブワードで自分を奮起させた方が良いのでしょうか?

こちらについては別の記事で詳細に書く予定ですが、下記リンク先でかんたんに触れていますのでよかったら参考にしてみてください。

note定期マガジン:試合:セルフトークはポジティブなほうが良いのか?(第45号2023/11/5)

 

参考情報:③トップアスリート・トップコーチに学ぶコーチング

主にジュニアアスリートを支えるスポーツ番組を題材に学んだことや考えたことをいくつか記事にまとめています。

ぜひこちらも参考にしてみてください。

記事:コーチング

今回の記事では演技・試技系の競技者が対象の内容ですが、対戦相手がいるスポーツのメンタルは下記の記事が参考になると思います。ちょっと長いですがぜひご一読ください。

 

★スタジオのパーソナルトレーニングではメンタルも含めてサポートしています

競技成績にこだわりたい人向けにはこちらがおすすめです。

 

こちらもぜひ参考にしてね

ブログカテゴリー

PAGE TOP