フィギュアスケートジャンプの精度を上げるエアマットトレーニング(小3,中1,高2)

当スタジオのパーソナルトレーニングでは、フィギュアスケートに取り組んでいる児童・学生の割合は半分くらいですが、課題内容に必ずジャンプがあげられます。

フィギュアスケートのジャンプのむずかしさについては、運動動作のバイオメカニクスの観点から解説した記事を以前投稿しましたが、本当にむずかしいスキルと思います。

 

そのため、当スタジオでも単なるフィジカル強化だけでなく、なるべくスキルと連動して少しでも早くパフォーマンスアップにつながるよう、フィジカル+スキル感覚を磨けるトレーニング方法を模索しつつ、ひとり一人に合わせて実施しています。

そのなかで最近使い始めてみたエアトラックマットは、一定レベル以上の選手向け(5級以上)に良さそうな印象なので、ご紹介いたします。

エアトラックマットを導入してみて1ヶ月半くらいですが、滞空時間と回転数にほんのわずかな成果が出るようになってきました。

この記事の最後に動画を入れていますので、そちらでぜひご確認してみてください。

 

エアトラックマットの設定(エアの調整)

 

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スタジオではこちらのマット(↑)の長さが3mのものを使用しています。オンライン受講の児童は自宅で2mのものを使用しています。

(マットの厚さは10cmです。20cmや30cmのものは跳び上がり過ぎるのでフィギュアスケートのジャンプ練習には不向きと思われます)

マットに注入する空気は、陸トレジャンプに使用する場合にはキッチリ満杯にすると跳び上がりすぎるようなので、一度パンパンにしてから空気の栓を瞬時に緩めて「ちょっと抜く」状態にしています。

慣れるまではこの「ちょっと抜く」がむずかしくて、モタモタしているとあっという間に半分以上抜けてしまいますが、コツは「1秒もかけずにすぐ栓を締める」くらいです。1割程度の空気を抜くイメージです。

 

 

ジャンプ前のプレアップ

スタジオのトレーニングではダブルジャンプやアクセルジャンプの練習をマットでいきなりするのではなく、身体の引き上げの感覚や足裏がついたらすぐ跳び上がる感覚(神経筋機能の強化)、身体の締めを意識するようなアップをいくつか実施しています。

身体の引き上げやジャンプ力を引き出すための身体の使い方については以前の記事でも書いていますのでぜひ参考にしてみてください。

 

◎身体の引き上げ(体幹部を意識して上げていく)

フィギュアスケートのジャンプは審美性も問われる採点競技のため、身体の重心位置を高くあげられるように身体を引き上げることが必要です。

が、この「引き上げ」の感覚は本当にむずかしいので、スタジオでもあれこれ試行錯誤しながら取り組んでいます。

(記事の最後に挿入している動画でご確認いただけます)

こちらの記事でもいくつかトレーニングを紹介しています。

 

 

◎身体の締めやひねりの感覚

ダブルジャンプやトリプルジャンプの獲得には身体の中心軸を起点に素早い回転動作が必要なので、体軸を意識したり、身体全体でひねる感覚もアップで取り入れています。

 

◎跳躍力を上げるための神経筋を意識した垂直ジャンプ

フィギュアスケートのジャンプの練習前に、まずは垂直跳びでマットに慣れる&身体を引き上げる感覚をトレーニングします。

「着地を溜めずにすぐに跳ぶジャンプ」については、主に神経筋機能の強化になりますが、下記の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

 

エアトラックマットでのジャンプ練習のやり方

プレアップで身体の感覚を意識できたら、いよいよマットで練習です。

1回あたりのパーソナルトレの時間は50分、通常のフィジカルトレのほか、別の課題(柔軟性を含むスキル)もあるので、ジャンプ練習も限られた時間のなかでポイントをとらえて実施しています。

ジャンプ練に割く時間は、どの受講生も長くても10分強くらいですね。

 

基本のやり方は、エアトラックマットで跳んだあと、すぐにマットを外して床でのジャンプ練習をします。

この「すぐに」がポイントで、マットを使って得られた「高く上がる感覚」を身体に記憶させるようなイメージです。

実際、マットなしで跳んだときと、マット使用→すぐ床で跳ぶを比較するとわずかに、ほんの一瞬ですが着地が遅くなります(=滞空時間が伸びる)、本当に一瞬ですが。

ですが、フィギュアスケートのジャンプはむずかしいスキルなので獲得までに時間もかかりますし、ほんのわずかな違いを見つけて、それを積み重ねていく、継続していくことが必要だと思うので「たった一瞬の違いだけじゃん」と思わずに「成長へのとっかかり」ととらえてもらえたらなと思います。

 

基本のやり方をベースに、跳ぶ回数や動画チェックのタイミングは学生の特性によっていくつかパターンがあります。

 

パターン1:繰り返し何回か立て続けに跳んだあと動画チェック

身体が動作にこなれてくるまでに少し時間を要するタイプの学生は、7~10回くらい立て続けに跳びます。

マットで跳んだあとでマットを外して床で跳ぶ場合も、だいたい5~6回くらいです。

そのあとにマットあり・なし、の両方の動画をチェックして、身体の疲れ具合に応じて再度練習するか違うものに切り替えるか、というやり方をしています。

 

パターン2:集中して3~4回跳んだあと動画チェック

練習をし過ぎると形が崩れやすかったり、力みが入ってしまうタイプの学生は、1回ごとに集中して3~4回跳びます。

そのあとマットを外して床でのジャンプも3~4回。

このタイプの学生は、だいたい2回目が一番良いパフォーマンスになることが多いです。

 

パターン3:1回ごとに跳ぶ→動画チェック

こちらのパターンは、必ず1発目が良いパフォーマンスになるタイプの学生です。

パターン2と同様にやればやるほど形が崩れていくので、マットありとなしで1回ずつ跳んですぐ動画チェック。そのあとすぐにもう1回やる場合もあれば、時間をおいてトレーニングの最後に再度やる、というような練習パターンです。

 

それぞれの児童・学生が、どのパターンが適しているのかについては、それまでのトレーニングの様子だったり、ふだんの練習の様子を確認しながら実践しています。

 

ちなみに、フィギュアスケートに限らずですが、スキル改善を目標にしている動作やトレーニングについては動画チェックを取り入れるようにしています

客観的に自分の動きを確認しながら、どこを改善したらよいのか、どこは良かったのかを自分で確認して考えられるようにしていくためです。

自分の動きを見慣れていないと最初は気恥ずかしさから抵抗を示しますが、だいたい3~4回目くらいには見慣れるようになって、慣れてくれば積極的に確認しようという様子に変わってきています。

 

とはいえ、練習方法については、それぞれ向き・不向き、メリット・デメリットがあるので、そのあたりも見極めながら実施しています。

 

プレアップの様子やマットを導入してからの滞空時間の比較などはこちらの動画でも確認できますのでぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

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